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メタ認知がビジネスに重要な理由とは?身につけるメリットや高める方法も解説

2023年09月13日更新

企業の人材育成において、近年「メタ認知」という言葉が注目されるようになりました。自分自身を客観的に認識するという意味で用いられる言葉ですが、なぜビジネス業界で注目されるようになったのでしょうか。

本記事では、メタ認知とはなにかを詳しく解説するとともに、ビジネスにおいて重要な理由、社員にメタ認知を身につけてもらうメリットやそのための方法などもあわせて詳しく解説します。

目次 【表示】

メタ認知とは

メタ認知とは、「自分自身の性格や言動、考え方などを客観的にとらえ、認識すること」を指します。

「メタ」とは、「高位の・上位の」という意味をもつ言葉であり、高位・上位の立場から自分を認識することは、つねに客観的な立場から自分自身を捉えることを意味します。

メタ認知はもともと、認知心理学の分野で使われていた用語であり、米国の心理学者ジョン・H・フラベルが定義しました。1970年代から研究されてきましたが、これまで一般的に知られている用語ではありませんでした。

しかし、近年ではさまざまな現場でメタ認知が注目されるようになり、教育現場や企業の人材育成にも応用されています。

メタ認知的知識とメタ認知的技能

メタ認知を実践するためには、メタ認知的知識とメタ認知的技能の双方を身につけることが重要です。それぞれどういった概念なのか、詳しく解説しましょう。

メタ認知的知識とは

メタ認知的知識とは、自分自身に関してわかっている知識のことを指します。具体的には「人」「課題」「方略」に関する知識に分類されます。

人に関する知識
「適度な休息をはさむことでパフォーマンスが向上する」といった一般的な知識のほか、「初対面の人ともうまくコミュニケーションがとれる」「小さな失敗を引きずってしまう」といった自分自身の長所・短所も含まれます。

課題に関する知識
「リモートワークではコミュニケーション不足に陥りやすい」、「単純作業を長時間続けるとミスが出やすい」といった、課題そのものに関する知識です。

方略に関する知識
「特定の課題はフレームワークに落とし込み、パターン化して解決する」「結論から話すことで、話の主題が齟齬なく伝わりやすい」など、課題を解決するための知識です。

メタ認知的技能とは

メタ認知的知識をもとに自分自身のことを認識し、有効な対策を講じるための能力をメタ認知的技能とよびます。具体的には「モニタリング」と「コントロール」の2つに分類できます。

モニタリング
メタ認知的知識をもとに、自分自身と照らし合わせながら客観的に認識することをモニタリングとよびます。自分自身の行動や考え方が正しい方向に向かっているか、認知が正常かを判断するためにもモニタリングは重要です。

コントロール
モニタリングによって客観的に自分自身を認識したとき、悪い方向へ向かっている場合には行動や考え方を修正しなければなりません。正しい方向へ自分自身を導くような行動がコントロールにあたります。

ビジネスにおいてメタ認知が重要な理由

ビジネスの分野でメタ認知が注目されるようになったのは、どういった背景・理由があるのでしょうか。

社員が自分の強み・弱みを把握できるため

社員自身がキャリアアップを実現するためには、それぞれの強みを活かし、能力を発揮していくことが重要です。そのために、まずは自身の強みを把握する必要があります。

メタ認知能力を高めることにより、自分の強みを把握でき、そのうえで強みを活かしながら高いパフォーマンスを発揮できるようになるのです。また、反対に自分の弱みを客観的に把握できていれば、どうすればそれを克服できるのか有効な対策も見えてきます。

自分自身を客観的に認識し、コントロールできるため

メタ認知能力が備わっていると自分自身を客観的に認識でき、自身をコントロールすることができます。

たとえば、感情や行動に思い込みがあると、自身の間違いに気づきにくかったり、他者の意見を受け入れづらかったりするため、問題が起きた際に真の原因に気づきにくいといった状況に陥ることがあります。

しかし、メタ認知能力が備わっていれば、思い込みに左右されず、目の前で起きたことをフラットに捉えることができます。その結果、なにが問題であるかを把握し、どのように進めていけばよいかがわかるようになるため、課題解決や目標達成につながるでしょう。

メタ認知能力が高い人の特徴

メタ認知能力が高い人にはどういった特徴があるのでしょうか。社員にメタ認知能力を高めてもらう際に参考となる特徴を紹介します。

感情に振りまわされることなく冷静

メタ認知能力が高い人は、喜怒哀楽の感情に振りまわされることが少なく、つねに冷静な判断ができる傾向があります。これは感受性が低いという意味ではなく、つねに自分を客観視することで感情をうまくコントロールできているということです。

たとえば、取引先や顧客から大きなクレームがあったときでも、焦ることなく優先順位をつけながら適切な対応がとれるのもメタ認知能力が高い人の特徴です。

周囲と良好な関係を築ける

メタ認知能力が高いと、周囲の人と自分との距離感を客観的に捉え、お互いに心地よい関係を維持できます。

また、周囲の人に対して偏見や思い込みを持たず、さまざまな考えや価値観を受け入れられるため、同僚や上司、部下ともスムーズな連携をとりながら仕事を円滑に進められます。

前向きで柔軟性の高い考え方ができる

仕事で大きなミスをしたとき、メタ認知能力が高い人は、再発防止のためになにをすべきかを柔軟に考えられます。

また、ミスや間違いをネガティブに捉えるのではなく、自分自身が成長するための機会と捉え、前向きに受け止めることができるのも特徴のひとつに挙げられます。

メタ認知能力を高めるための方法

社員自身がメタ認知能力を高めるためには、どういった方法があるのでしょうか。重要なのは、メタ認知的技能でも紹介した「モニタリング」と「コントロール」をトレーニングすることです。

セルフモニタリング

自分自身の行動や思考を客観視し、確認する作業をセルフモニタリングとよびます。

自分の良いところや長所は向きあいやすいものですが、欠点や短所とは正面から向き合えないことも多いものです。そこで、社員にメタ認知能力を高めてもらうためには、まず社員自身が自分の欠点や短所から逃げずに意識的に向き合うことが第一歩となります。

なお、セルフモニタリングを手助けするために、ビジネススタイル診断や性格診断などのツールを使うことも有効です。これを活用しながらセルフモニタリングに取り組んでもらうことで、社員自身が客観的に強み・弱みを認識でき、それらにどう向き合い、活かしていくかを考えてもらえる機会にできるでしょう。

セルフコントロール

セルフモニタリングによって社員自身の改善すべきことが見えてきたら、それらを克服するためのセルフコントロールを実践してもらいます。なぜそのように感じるのか、そのような行動をとるのかなど要因を分析して、対策をすることがセルフコントロールにあたります。

たとえば、「特定状況下で、仕事の集中が途切れる時がある」という欠点を認知できた場合、その要因が「リモートワークでWeb会議を連続しておこなったあとの事務作業という状況」であることがわかりました。

そのような場合には、「作業場所を変えてみる」「スケジュール設定を集中力が高い時間に調整してみる」など、自身でコントロールできる範囲でセルフコントロールをおこなう方法が考えられるでしょう。

社員のメタ認知能力向上に向けた支援を実施しよう

社員一人ひとりがメタ認知能力を高めることは、社員自身の強みを活かすことにつながり、組織のパフォーマンスの向上が期待されます。

メタ認知能力の高い人の特徴として紹介した内容を参考に、まずは社員自身にセルフモニタリングをおこなってもらいましょう。セルフモニタリングでは、診断ツールなどを用いるのも一つの方法です。

社員に日頃からセルフモニタリング・セルフコントロールに取り組んでもらえるよう、人事部門でもそのような機会を提供するなど、具体的な支援の内容を検討してみましょう。

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