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ピープルアナリティクスとは?組織を客観的に分析するための進め方や課題

2020年07月03日更新

近年、GoogleやYahoo株式会社などの大企業が取り組んでいることから知られるようになったピープルアナリティクス。企業に関わるさまざまなデータの分析を通じて、課題解決ができた事例の広まりから、組織課題に悩む企業の注目を集めています。ピープルアナリティクスはどのように始めればよいのでしょうか。また、どのような課題を解決できるのでしょうか。基本的な流れ、具体的な活用例、取り組むうえでの課題など、「これから取り組みたい」と考えている企業の方に向けて、お伝えします。

目次

ピープルアナリティクスとは?

ピープルアナリティクスとは、従業員に関するデータを収集した分析結果を用いて、組織が抱える課題を可視化し、解決へと導くアクションに繋げるための手法の一つです。たとえば、自社で活躍している社員の属性情報・特性・行動データなどを分析し、その結果を人材採用する際の参考情報にしたり、育成プログラムの内容を検討する際に活かしたりする方法が想定されます。

これまで人事課題への対応は、人事担当者の経験や感覚をもとに「おそらく~であろう」という直感ベースで議論されることが多かったのではないでしょうか。そのような場面において、ピープルアナリティクスの手法を用いると、客観的な事実データを分析し解決策を導くことができます。また客観的なデータは経営層にとっても、意思決定おこなうための重要な材料となりえます。

分析対象となるデータの例

人材データ

人材データは、ピープルアナリティクスにおいてもっとも基本的なデータです。年齢・性別・所属部署・職位・給与などの個人情報を始めとし、解決したい組織課題によっては勤怠・評価歴・保有スキル・特性なども分析対象となる場合があります。

デジタルデータ

ピープルアナリティクスで活用されるデジタルデータとは、社用パソコンの利用状況やインターネットの閲覧履歴、電子メールの送受信先や時間帯、電話の通話履歴などです。たとえば、ある従業員が頻繁にやり取りをしている相手と、発揮されるパフォーマンスの相関などを測る目的で収集することがあります。

オフィスデータ

オフィスデータは、会社の設備がどのように利用・活用されているかを分析することで、従業員の行動やコミュニケーションを間接的に把握するために収集します。たとえば、時間帯や季節ごとのオフィス設備の利用のばらつき、会議室や休憩室の利用状況、複合機の利用状況などがあります。

行動データ

行動データとは、従業員が勤務時間中にどんな行動をとったかをみるためのデータです。カレンダー機能から得られる自席に座っている時間や会議室での滞在時間、社用携帯の位置情報で把握できる外出時間や出かけ先など考えられます。

ピープルアナリティクスデータの活用例

上記で挙げたようなデータを可視化することで、経営層や戦略考案者などに正しい情報が行き渡り、さまざまな意思決定に利用できるようになります。では、どのような場面で分析データを活用できるのでしょうか?それぞれのシチュエーション別にみてみましょう。

採用活動での活用

採用活動の場面では、現在働いている従業員のうち、活躍しているのはどんな人材なのかを分析し、その要件をもとに選考をおこなうことに活用されます。分析データを用いて採用をおこなった人材は、入社後に高いパフォーマンスが期待できるでしょう。

また、選考プロセスの効率化のために、データを利用することもあります。たとえば、エントリーシートの設問と、実際の選考時に判断材料とした設問の相関を分析することで、以降のエントリーシート設計ではより効果的な設問を設定することができます。

人員配置・育成での活用

人員配置・育成の場面で活用されることが多いのは、自社にとってのハイパフォーマーとはどんな特徴をもつ社員なのか、をピープルアナリティクスで導き出した情報です。「好業績に結びついたのはどんな行動なのか」「その行動を起こすために必要な能力とはなにか」など、ハイパフォーマーがもつ特性の傾向を導きだすことの効用は大きく、その分析結果はさまざまな場面で活用できます。

たとえば、ハイパフォーマーがもつ特性の傾向を部署別の観点で比較することで、異動の候補者を考える際、その部署で活躍できそうな対象者をリストアップしやすくなります。またチーム単位でみた場合も、パフォーマンスを発揮しやすい従業員同士の組み合わせを分析することで、チーム編成を検討する際の判断材料にもなります。

従業員の定着・流出防止での活用

企業が人材について考える際、「自社に定着してもらえる環境をどのようにして作るか」という観点が不可欠です。そのような人材流出防止にも活用できます。たとえば、「従業員がパフォーマンスを発揮しやすい魅力的な職場環境」をデータ分析によって導き出したり、退職者にフォーカスして離職率が上昇傾向なのか下降傾向なのかを認識することも可能です。離職率が高いのであれば退職者の特徴を分析して、先手を打った対応を実施することで、退職要因を早期に取り除くこともできるのです。

関連:「ヤフー流のピープルアナリティクスで一人ひとりの才能と情熱を解き放つ
」/HR Trend Lab

ピープルアナリティクスの進め方

ピープルアナリティクスを実施したいと考えた場合、どのように進めることができればよいのでしょうか。大きく分けると、ピープルアナリティクスの進め方には2種類あります。一つは「課題ファースト」の進め方、もう一つは「データファースト」の進め方です。

「課題ファースト」とは、すでに認識されている課題をもとに、その根拠となるデータを収集・分析することで、課題の要因や解決策を発見する方法です。一方、「データファースト」とは、多種多様なデータをさまざまな観点から比較・分析することで、課題を発見し、解決策を講じていく方法です。それぞれの具体的な手順をご案内します。

課題ファーストでの進め方

1.課題の把握
課題ファーストの進め方では、まずは人事担当者や管理職以上がすでに抱えている課題を洗い出すことから始めます。これには、従業員ヒアリングを通じて挙がってきた課題も含まれます。

2.仮説の設定
認識している課題に対して、考えられる要因や傾向の仮説を立てます。このプロセスは、集めるデータを絞り込むためにも役立ちます。

3.データを収集
立てた仮説を実証するために必要なデータを収集します。すでにあるデータを整理して一か所に集める方法もありますし、新たなデータを取得するところから始める場合もあります。

4.考察を行い、解決策を検討する
収集したデータと当初感じていた課題を照らし合わせ、客観的な視点から考察を行います。そして考察により導き出した解決策を、迅速に実行していきます。

データファーストでの進め方

1.データを集め、整理する
まずは部署や業務ごとに点在しているデータを一か所に集めます。ここでは、現状手元にないデータを無理に収集したり作ったりする必要はありません。ないデータは、後から必要になったタイミングで、あらためて収集しても遅くないでしょう。

2.仮説を立て、データを分析する
整理ができたらデータの分析を進めます。分析というと難しく考えてしまいがちですが、まずは部署別、年代別、役職別など、単純な切り口で比較をしてみましょう。データ分析の専門家ではない人事担当者や管理職が分析する場合でも、仮説を立てて分析を繰り返していくことで、徐々に傾向や糸口が見えてくるはずです。

3.解決策を計画・実行する
分析の結果、見えてきた課題に合わせ考察をおこない、解決策を計画して実行に移します。

ピープルアナリティクスに取り組むうえでの課題

データの整理や客観性

「ピープルアナリティクスの要であるデータがしっかりと整理されているか」、また「データが客観的であるかどうか」は分析を進めるうえでの大きなポイントとなります。部署や業務ごとに別々の似たようなデータを管理していたり、フォーマットがばらばらだったりすることも少なくありません。整理されていないデータは抜け漏れが生じやすく、時系列の継続性がないケースも考えられます。さらに人事評価のような「人」が入力するデータは、注意が必要です。属人的なデータは、主観的なバイアスがかかっていることを前提として扱うように心がけましょう。

データの整理と客観性の問題に対応するためには、まずデータを一か所に集約すること。そして入力するデータにバイアスがかからないよう、データの凡例や入力基準を明確にすることに留意します。

分析担当者のスキル

集めたデータを、より効果的に分析するためには、分析担当者の力量も問われます。目的を明確化・言語化して把握しているのはもちろんのこと、データを集める段階でどのようなデータをどんな形式で集めるかを設計できるのも重要な能力です。

まずは自社の状況を把握している人事担当者が、感覚的に分析することから始めても問題ありませんが、データの解釈手法や、分析結果の妥当性判断など、経験を通じて培われるスキルがあることも理解しておきましょう。場合によっては、データサイエンティストとしての知識を身に付けたり、新たな人材を採用したりすると、より高い成果につながります。

従業員の個人情報保護

個人情報保護のためには、収集するデータの公開範囲について慎重な検討を重ねたうえで、データ利用の目的や内容を従業員に対して誠実に説明することが大切です。文書などの明確な形で、合意を得ておくとさらに安心です。

ピープルアナリティクスでは、人事データを中心とする繊細な個人情報を多く扱うことになります。そういったデータを扱う立場として気を付けなければならないのは、必要なデータのみを収集することです。従業員のために解決策を検討するという、ピープルアナリティクスの目的を常に意識しましょう。決して、担当者の興味本位で闇雲にデータを収集することのないようにします。

まとめ

ピープルアナリティクスに取り組むことで、データという客観的な視点から企業の課題を認識し施策を導き出すことができます。データを継続的に収集、分析し、課題解決のための施策を行うのプロセスを繰り返していくことで、企業の持続的な発展につながります。

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