新卒の離職率とは?実態と原因、早期離職防止策を解説

近年、新卒一年以内や三年以内の社員の離職が増加し、特に高卒・大卒の若者などキャリア初期の退職率が注目されています。
この記事では、新卒離職率の実態と原因、業種別の特徴、そして早期離職を防ぐ具体的な対策までをわかりやすく解説します。
新卒の離職率とは?定着率との違いも解説
新卒の離職率とは、高校や大学などを卒業したばかりの新入社員が一定期間内に退職する割合を指します。
一般的にこの離職率は三年以内の離職を指標とし、例えば新社会人が入社してから三年でどれだけの人が会社を辞めているかを数値化したものです。
新卒離職率の現状と統計
高卒、大卒、短大卒など学歴別にも離職率が報告され、業種によっても大きく異なります。近年は労働環境の変化や若者の価値観の多様化により、この離職率が社会的な課題として認識されています。
新卒離職率は年々変動していますが、「厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」」の統計によると、高卒で就職した人の約4割、大卒では約3割強が三年以内に離職している現状があります。
一年以内でも約1割前後が退職しているというデータもあり、早期離職率は依然として高い水準です。
業種別に離職率に差が見られるのも特徴で、宿泊・飲食サービス業などでは三年以内の離職率が5割を超えることもあります。

出典:「厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」」よりデータを引用し、マイナビにて編集
離職率と定着率の違い
離職率とは、一定期間内に退職する社員の割合を表す指標です。一方、定着率は逆に、退職せず継続して働いている社員の割合を示します。
例えば新卒の3年以内離職率が30%という場合、定着率はおおよそ70%となります。定着率の向上は企業の安定や成長に直結するため、人事担当者や経営者は両方の指標をバランスよく分析する必要があります。
新卒者が早期離職する原因
離職の背景には、辞めやすく組織への定着がしづらくなっていることも一因です。現実と理想のギャップやオンボーディングに向けた施策が行われていないことや、転職市場の活性化という外部的な要素も離職率上昇の要因です。
現実と理想のギャップが大きい
新卒者が入社後に感じる最大の壁は、入社前に抱いていた理想と、実際の職場や業務内容とのギャップです。
理想だけを膨らませて入社し、現実が追いつかないことが退職理由となる場合があります。
このギャップは自然解消が難しい傾向があり、個人だけでなく組織からのアプローチが必要です。
入社後は組織に適応させ、組織に定着させることが新卒の離職率を低下させるために重要なテーマといえます。

出典:組織定着の重要性を考える-オンボーディング/リアリティショックの観点から-|マイナビ 就職情報事業本部より
組織定着に向けたアプローチ
多くの新卒者が早期離職する背景には、企業側のフォロー不足や定着支援の体制が不十分な点が挙げられます。入社後の研修やメンター制度、定期面談など企業からの能動的な行動を行う時期を見極めることが大切です。
またOJTの早期開始かつ継続的な実施、人間関係を醸成させるためのコミュニケーションの場を設定等を行うことで、理想と現実とのギャップを埋めやすくなります。企業全体で組織定着を意識し、人材育成や教育制度の充実を図ることが重要といえるでしょう。
転職市場が活性化している
近年では転職市場の活性化により、若い世代にとってキャリアの選択肢が増えています。「総務省統計局 直近の転職者及び転職等希望者の動向について」によると2023年時点で転職者数は325万人、転職等希望者は1,035万人に達し、いずれも近年高い水準を推移しています。
インターネットや求人サービスの発達により、気軽に情報収集ができるため、自分に合わない労働環境やミスマッチを感じるとすぐに転職を考える環境が整っている状況です。企業側は若手の流出防止のために待遇・職場環境の見直しを進める必要があります。

出典:「総務省統計局 直近の転職者及び転職等希望者の動向について」 より引用
人間関係構築が図れない
新卒が離職を考える理由として、職場で良好な人間関係を築けないことも挙げられます。上司や同僚とのコミュニケーションが円滑に進まないと、孤独感や働きづらさを感じてしまいます。
研修や交流会などを通じて人間関係を構築できる機会を増やしたり、風通しの良い環境を作ることが重要です。良好な人間関係を築くことは、業種問わず新卒者の定着率向上に寄与します。
退職代行サービスの利用
直近の退職代行サービスの普及は、新卒が離職するきっかけの1つになっています。従来は退職を言い出しにくい雰囲気や人間関係のしがらみから、我慢して働き続けるケースも見受けられていました。
マイナビの「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」によると、直近1年間で転職した人の16.6%が退職代行サービスを利用したことがあることがわかりました。
新卒の離職率低下策の具体例
新卒離職率を下げるためには労働条件改善や教育制度、採用活動の見直し、働き方改革などの対策が有効です。
労働条件の改善
労働条件の改善は新卒離職率低下に直結する重要な施策の1つ。賞与や昇給の実施や福利厚生の見直しだけでなく、長時間労働の抑制や休日取得の促進も大切です。
定期的な制度の見直しや社員へのアンケート調査を行い、労働実態を分析し職場ごとに適切な働き方を推進することが大切です。また、予め求人情報に正確な労働条件を提示することで、採用ミスマッチを防ぐことができます。
柔軟な働き方の導入
・フレックスタイム制やテレワーク、時短勤務制度の整備
近年ではワークライフバランスへの関心が高まり、柔軟な働き方の導入が新卒離職率低下につながってるのではないかという見方もあります。
テレワークやフレックスタイム制度の利用は、個々のライフスタイルに合わせた働き方ができるため、職場選びの重要な要素となっています。柔軟な労働制度導入は職場の定着率向上や早期退職の防止にも効果的です。
採用活動の改善
採用活動の改善は新卒離職率の低下に大きく貢献します。企業は求人票だけでなく、会社説明会やインターンシップなどを通じて実際の職場環境や仕事内容を丁寧に説明することが重要です。
業種別や役職ごとに求められるスキルや働き方を明示したりすることで、新卒者が自身のキャリアデザインを具体的にイメージしやすくなります。
新卒者とのコミュニケーションを大切にし、適切な人材を見極めることが大切です。

出典:組織定着の重要性を考える-オンボーディング/リアリティショックの観点から-|マイナビ 就職情報事業本部 より
人材育成と教育制度
人材育成と教育制度の充実は新卒離職率の低下に欠かせません。入社研修やOJT、メンター制度などの環境を整えることで職場への定着が促進されます。
また業種別に求められるスキルやキャリアパスを具体的に示したり、教育制度の見直しや適切な人材育成を行うことで、早期離職防止に加え将来的な組織力の強化も実現できます。
新卒の離職率に関するよくある質問
新卒が辞める理由として多いのは?
理想と現実とのギャップや給与・待遇への不満、将来のキャリア形成への不安などがあげられます。
「思っていた仕事と違う」というミスマッチが生じやすく、早期離職につながる傾向があります。
1年目で辞める割合は?
大卒以上で10.6%、高卒で15%です。
つまり10人に1人以上は1年目で辞めてしまう計算です。
新卒で1番辞める時期はいつですか?
新卒1年目の2月〜3月や入社して3ヶ月〜半年が多い傾向があります。
試用期間の終了や配属後の現実とのギャップが表面化する時期に、実際の業務と理想のギャップと、実務の大変さなどが重なることが要因の1つであると考えられています。
新卒の離職率増加の背景を理解し改善しましょう
この記事では新卒離職率の実態や原因、労働環境や定着率向上の具体的な対策まで解説しました。
新卒者の一年以内や三年以内の離職を防ぐには、職場改善や人材育成、柔軟な働き方の導入が重要です。
課題を理解し、それぞれの企業や個人が前向きに行動することで、若い世代の価値観と働きやすい労働環境の実現につながります。

















