オンライン時代のコミュニケーション術すゝめ(前編)
書籍の要約サービス フライヤーがランチを食べながら「知的筋力」を鍛える、新しいセミナーをスタートしました。「Lunch time ビジネスワークアウト」と題しまして、 お昼の時間帯に無料のオンラインセミナーを開催。参加者は顔見せをしないウェビナー形式で、リラックスしたムードの中でたくさんの方にご参加いただきました。
メインスピーカーは株式会社フライヤーアドバイザー兼エバンジェリストの荒木博行です。本記事では、当日のセミナーの様子をダイジェストで2回に分け、お届けします。
荒木 第1回のテーマは、「テレワーク時代のコミュニケーション術」です。こうしてオンラインで集まってくださったみなさんの多くは、日常的にパソコンを使って仕事をされていて、感染症の影響下でテレワークを経験しているのではないかと思います。
オフラインのときは、僕たちはただそこにいるだけで、非言語的なメッセージを周りとやりとりしていました。それに、ランチや飲み会など、職場外でのコミュニケーションでもメッセージを交換していました。オンラインではそれらがなくなってしまいました。そのことを意識しておかないと、気づかないうちに人間関係が急激に希薄化していってしまいます。
そこで、テレワークで必要となるコミュニケーションの6つのポイントを、フライヤーで配信されている要約とともに紹介していきたいと思います。
1.あなたは言ったことを「一言」でまとめる準備はできているか?
最初に紹介するのは、伊藤羊一さんの『1分で話せ』です。1分で伝えるためのプレゼンでの話し方を中心として、『伝わる話し方』を紹介しています。
テレワークでの会議って、じつは「誘惑との戦い」なんですよ。リアルの会議だったら、「内職」をすることは不可能ですが、オンラインだと簡単にできてしまいますよね。こういう状況では、話し手が言いたいことをバシッと一言で表して、聴いている側の注意を引きつける必要があります。
伊藤さんは、自分の伝えたい内容を包み込む、とても大事なキーワードを「超一言」という言葉で表しています。プレゼンや報告でも、全体を表す印象的な一言を最初に持ってくる。そして、会議が終わった後でもその「超一言」を聴いていた人の中に残すことが目標です。
2. あなたはどれだけ「部下の話を聞く時間」を作っているか?
本書では、1 on 1のNG例と成功例が描かれた漫画から、対話の勘所を押さえられるようになっています。また、実際のやりとりのスクリプトや、部下の内省を効果的に促すコツが惜しみなく紹介されているので、人材の本領を発揮させ、組織を活性化させる仕組みを取り入れたいと願う人事担当者、管理職にとって、学びの宝庫となります。
上司と部下の間で1on1ミーティングを実施している企業は増えていますが、「部下の話を聞く時間」ではなく「上司が聞きたいことを聞く時間」になってしまいがちです。『ヤフーの1on1』では、「上司の役割はあくまで部下の学びの支援である」と言っていて、部下に十分話してもらうことをとても大事にしています。部下の本当に言いたいことというのは、上司が聞くことに徹し続けて、最後にようやく出てくるものです。「強いて言えばなんですが……」なんて言いながらね。
あなたが上司の立場だったら、部下との相談専用の時間を確保しましょう。テレワークが増えているからこそ、ますます大事になる視点です。
3. あなたはどこまで「その人の状況」を見ているだろうか?
『「未来のチーム」の作り方』では、「サイボウズ式」というサイボウズのオウンドメディアの編集長である藤村能光さんが、チームづくりの秘訣について語っています。オープンイノベーションやコミュニティの流行、副業の推進という社会のトレンドも視野に、社内のチームワークを高めるノウハウばかりではなく、いかに「外の人」と組み、仕事その他のプロジェクトを進めていくかにも触れられています。
藤村さんは、当初マイクロマネジメントに終始していて、メンバーの仕事の進捗状況を細かく管理して指示を出していました。すると、メンバーは感情や気持ちをないがしろにされていると感じて、タスクは進んでもチームの雰囲気はどんどん悪くなっていってしまった。そこで、藤村さんは仕事に煮詰まっている人に「どうしたんですか?」と声をかけるようにやり方を変えた。「仕事の状況」ではなく「人の状況」を見るようにしたんですね。スピードは落ちたけど、メンバーが納得感を持って仕事に取り組めるようになったそうです。
リモートワーク は相手の状況がわからないので、マイクロマネジメントになりがちです。「あの件はどうなったの?」なんてメッセージが散発的に送られてくると、口頭で言われるよりもプレッシャーを感じますよね。
テレワークだからこそ、「人の状況」を見られているかを意識して考えてみましょう。
次回、後編でさらに3冊の書籍を紹介していきます。