イノベーションとは?改善との違いと企業が取り組むべき理由を解説!

変化の激しい現代のビジネス環境において、イノベーションは企業の持続的成長の重要なカギです。
しかし、多くの日本企業がイノベーション創出に苦戦しており、諸外国と比較してみても課題があります。
この記事では、イノベーションの定義から実際に組織でイノベーションを起こすための具体的な方法の例までを解説します。
経営層・人事担当者・管理職が知っておくべきイノベーションを起こすためのポイントも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
イノベーションとは?「改善」との本質的な違い

イノベーション(Innovation)とは、既存の枠組みを根本的に変える「新たな価値創造」のことです。従来のやり方を見直し、まったく新しいアプローチで社会や市場に価値を提供する取り組みを指します。
この「新たな価値創造」という概念は、多くの日本企業で日常的におこなわれている「改善」とは本質的に異なります。「改善」が主に既存の枠組み内での効率化や最適化を指すのに対して、イノベーションは非連続的な変化をもたらし、時には既存の常識や業界のルールそのものを覆します。
実は、日本企業のイノベーション創出力は国際的に見て低い水準にあります。国連の世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2024年版「世界イノベーション指数」において、日本は13位と、ほかの先進国に後れを取っている状況です。
イノベーションが必要とされる背景

企業が持続的成長と競争力を維持するためには、イノベーションが不可欠です。しかし近年、従来の手法では対応困難な課題が企業に立ちはだかっています。それでは、なぜイノベーションがより強く求められるようになったのか、その背景を確認していきましょう。
VUCA時代がさらに進み、既存事業の変化を迫られる
ビジネス環境の変化スピードが激しくなった結果、現代はVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代と呼ばれるようになりました。
既存のビジネスモデルの持続可能性が低下しており、顧客ニーズも予測困難なほど変化・多様化しています。かつては通用したビジネスモデルも、今では数年で変化を迫られるケースが珍しくありません。
このような環境下では、従来の枠組みにとらわれることなく、イノベーションを創出していく姿勢が企業存続のカギとなります。市場の変化に応じて事業を柔軟に変革し続ける企業こそが、競争優位を維持できるのです。
DX・AIが加速し、業界を越えた競争が起きている
デジタル技術の急速な発展により、業界の境界線が曖昧になりつつあります。異業種からの新規参入が増加し、データドリブンな新サービスやビジネスモデルが次々と登場しています。
たとえば、小売業界にテクノロジー企業が参入したり、金融サービスがIT企業によって提供されたりするなど、業界の垣根を越えた競争が日常的に発生しています。
自社の業界内だけの競争に目を向けていては対応が後手に回ってしまいます。幅広い視野を持ち、異業種の動向も含めて生き残りのための戦略を立案していくことが重要です。
労働人口減少により生産性向上が喫緊の課題となっている
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」(※1)によれば、日本の生産年齢人口は2029年に7,000万人を下回り、2065年には4,529万人まで減少すると推計されています。
今後、業界を問わず深刻な人材不足が進行するため、従来のビジネスモデルでは事業継続が困難なケースも出てくるでしょう。
こうした状況下では、限られた人材でより多くの成果を生み出す抜本的な生産性向上が不可欠です。デジタル技術やAIを活用したイノベーションにより、少ない人員でも競争力を維持できる新たな価値創造の仕組みが求められています。
<参考>
※1.内閣府|令和4年版高齢社会白書
イノベーションの代表的な3つの理論

イノベーションを体系的に理解するために、代表的な3つの理論を押さえておきましょう。これらの理論は、自社のイノベーション戦略を検討する際の重要な指針となります。
| 理論 | 提唱者 | 核心概念 | 実践への示唆 |
| 5つのイノベーション | シュンペーター (1912年) |
プロダクト・プロセス・マーケット・サプライチェーン・オルガニゼーションの5分類 | 複数領域の同時革新で大きな変革を実現する |
| 破壊的イノベーション | クリステンセン | 新市場・ローエンド市場からの創造的破壊 | 既存顧客の声だけでなく新市場にも注目する |
| オープンイノベーション | チェスブロウ | 外部との協働による価値創造 | スタートアップや産学連携を積極活用する |

