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パーパス経営に注目する企業が増えた理由とは?時代背景とともに解説

2022年06月01日更新

企業が自社の存在意義を考えながら、社会に対してどのように貢献できるのかを示して経営することを「パーパス経営」といいます。現在、さまざまな企業において「パーパス経営」が注目されていますが、なぜなのでしょうか。

今回は、パーパス経営とはなにか、注目する企業が増えた理由について時代背景を踏まえながら解説するとともに、企業がパーパス経営に取り組むうえでの注意点も紹介します。

目次 【表示】

パーパス経営とは

パーパス(purpose)とは、日本語に直訳すると「目的・意図」といった意味をもつ言葉です。
これをパーパス経営という言葉に当てはめてみると、企業を経営する目的や意図を考え・実行することを意味します。

すなわち、企業の存在意義を考え、社会へどのように貢献していくのかを掲げて経営することをパーパス経営とよびます。

ビジョンやミッションとの違い

パーパス経営と意味が似ている言葉として、ビジョンやミッションがあり、混同されることも少なくありません。パーパス経営とはどのような違いがあるのでしょうか。

ビジョンとは、企業が将来目指す姿を具体化したものを指します。そして、ビジョンを実現するために果たすべき使命をミッションとよびます。
これに対してパーパス経営とは、社会貢献の側面から今現在の企業の役割や存在意義を考えるものです。

また、パーパス経営は社会貢献を前提として考えるのに対し、ビジョンやミッションは必ずしも社会貢献が前提であるとは限りません。ただし、ビジョンやミッションとして掲げる内容によっては、パーパス経営と共通する場合もあります。

パーパス経営が企業から注目されるようになった理由

大手を中心にパーパス経営に取り組む企業が増えていますが、なぜパーパス経営は注目されるようになったのでしょうか。2つの理由を解説します。

SDGsへ取り組む企業の増加

2015年の国連サミットにおいてSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことをきっかけに、パーパス経営への注目度がアップしました。

SDGsでは環境問題をはじめとして、人権や経済、テクノロジーといったさまざまなテーマが設定されています。いずれのテーマも社会課題と密接に関連しており、個人はもちろん企業として取り組むべき課題も多数存在することから、社会貢献を前提として考えるパーパス経営にも注目が集まるようになりました。

また、SDGsは若い世代からの注目が高いこともわかっており、パーパスとしてSDGsと関連するものを掲げることで、若い世代から支持される企業となるでしょう。その結果として、消費者層の拡大や採用力の強化も期待できます。

DXの推進に取り組む企業の増加

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや企業風土を変革することを指します。

DXによってビジネスモデルを変革するためには、自社が社会や顧客からなにを求められているのかを根底から考えなおす必要があります。

そのためには、自社の存在意義を認識することが重要であることから、パーパス経営に着目する企業が増加しました。

パーパス経営のメリット

企業がパーパス経営に取り組むことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。代表的な2つのポイントを紹介します。

顧客や取引先からの信頼獲得

社会貢献を前提とし、自社の存在意義を見つめなおすパーパス経営に取り組むことで、顧客や取引先から信頼性の高い企業であると認知される可能性が高まります。

たとえば、環境問題が深刻化している昨今、消費者の意識も変わり環境に配慮した製品を選ぶなどの行動をとるケースも少なくありません。

そこで、環境への配慮をパーパス経営の主眼に置き、製品に簡易包装やリサイクル素材を取り入れている企業は消費者から受け入れられやすいといえるでしょう。

また、メーカーがサプライチェーンを構築するにあたっても、パーパス経営に取り組んでいる企業は信頼性が高く、取引先との良好な信頼関係が構築できるでしょう。
顧客と取引先からの信頼を獲得できれば、経営基盤の安定化にもつながります。

ビジネスモデルの革新による競争力強化

時代の変化とともに消費者のニーズも多様化しており、これまで提供してきた製品やサービスの売上が低下することもあります。

時代の潮流に合わせ、顧客が抱える課題を解決する製品やサービスを生み出すことは、企業が生き残っていくために重要な戦略ともいえるでしょう。

パーパス経営の特徴である社会貢献を考えることは、消費者が抱える顕在的・潜在的なニーズを把握することにもつながります。パーパス経営に取り組むことで、革新的なビジネスモデルへと生まれ変わり、企業としての競争力も身につけられる可能性があります。

企業がパーパス経営を掲げる際の5つのポイント


企業がパーパス経営に取り組むうえで、社会貢献につながるパーパスを策定する際には以下の5つのポイントを押さえておく必要があります。

1.社会課題の解決につながるもの

パーパス経営として取り組む内容は、社会課題の解決につながることが前提となります。
社会課題には環境問題を筆頭に、労働環境の改善や人権問題、ジェンダー平等など、さまざまな課題が存在します。

2.利益につながるもの

社会課題の解決につながる取り組みであったとしても、自社にとって利益が見込めないものは経営に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

パーパス経営に取り組んだ結果、業績が悪化し、社員や株主に損失を与えてしまうのでは本末転倒となってしまいます。
短期的ではなくとも、長期的にみた場合に利益に結びつくパーパスを検討することが重要です。

3.事業と関連するもの

利益につながるだけでなく、自社が取り組んでいる事業に関連して実現できる取り組みを実行することも重要です。

ノウハウや経験がないことに取り組んでも結果につながるとは限らないため、現在おこなっている事業から自社の存在意義を見直したうえでパーパスを設定しましょう。

4.実現可能性のあるもの

企業規模によってもパーパスの内容は異なります。
たとえば、資金力が限られているにもかかわらず、大規模な取り組みを実行しようとしても実現できないまま終わってしまう可能性があります。

はじめは小規模であっても、企業規模や事業内容に応じて実現可能性のあるパーパスを設定し、着実に実績を積み上げていくことが重要です。

5.社員のモチベーションを高めるもの

自社で働く社員が、自分たちの働きが社会に役立っていると認識できれば働きがいが生まれ、モチベーションも高まります。全社にパーパス経営を浸透させる意味でも、社員自身が身近な問題であると認識しやすい内容のものが適しているといえるでしょう。

パーパス経営によって企業価値を向上させよう

パーパス経営は企業の存在意義を見つめ直し、社会課題の解決に貢献するものです。
企業は自社の利益を追求するという前提があるものの、社会課題の解決に取り組むことで顧客や取引先からの信頼を獲得でき、企業価値の向上につながっていきます。

今回紹介した内容を参考に、パーパス経営が注目されている背景を理解し、自社の存在意義についてあらためて考えてみましょう。

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