ブレインストーミングとは?基礎となる4原則や効果的な手法を紹介
アイデアを効率的に引き出し、チームの創造性を高める手法として、ブレインストーミングが有効です。とくに、問題解決や新しい企画の初期段階など、多様な視点を取り入れながら短期間で多くのアイデアを集める場面で効果が発揮されます。
また、アイデアを引き出すための4原則があり、これにもとづいてブレインストーミングをおこなうことで、より効果を発揮し、円滑に進められるでしょう。
本記事では、ブレインストーミングとはなにか、メリット、ブレインストーミングの4原則、アイデアの出し方、ブレインストーミングのアイデア整理に活用できるKJ法について解説します。
ブレインストーミングとは
ブレインストーミングとは、ある議題についてアイデアを出したい場合や、問題点を列挙したい場合に複数人が集まって自由に意見を述べる手法のことです。アメリカの実業家である、アレックス・F・オズボーン氏によって考案されたものであり、略して「ブレスト」と呼ばれることもあります。
他人のアイデアを批判せずに多様なアイデアを集めることが特徴で、発想の幅を広げられます。それにより、通常では見逃しがちな新しいアイデアやアプローチを発見することにつなげられるでしょう。
ブレインストーミングは、主に問題解決や新しい企画の創出、チームの共通理解の形成などの場面で活用されます。とくにビジネスやプロジェクトの初期段階で、アイデアを短時間で大量に収集することが求められる場合に有効といえるでしょう。
ブレインストーミングのメリット
ブレインストーミングのメリットを4つ、以下で紹介します。
創造的なアイデアが生まれやすい
ブレインストーミングの大きなメリットは、参加者全員が自由に発想できる環境を整えることで、特定の枠にとらわれず、多様な視点や考え方で話し合える点です。これにより、個人では気づけないような、革新的なアイデアや新しい解決策が生まれやすくなります。また、出されたアイデアを組み合わせることによって、よりよいアイデアを生み出すことも期待できます。
チームの結束力を強化する
ブレインストーミングをおこなうことで、チーム内で意見を共有し、批判をせず、お互いを理解する場が生まれます。このプロセスは、単なるアイデア出し以上に、メンバー同士の信頼感や一体感を醸成でき、チームの結束力を高めることにつながります。
多角的な視点が得られる
通常の会議では、発言する人が限られることが多いですが、全員が自由に意見を述べやすい環境をつくるのがブレインストーミングの特徴です。これにより、普段は発言しづらい参加者の視点も取り入れられ、問題に対する多角的なアプローチにつながります。
短時間で多くのアイデアを収集できる
参加者が同時にアイデアを出すことにより、通常の会議と比べて素早くアイデアを収集できます。時間の効率化と発想の多様性を同時に実現できるため、素早く結論を出すことが求められる会議や、短期間でアイデアの方向性を決定しなければならない場合において大きなメリットになります。
ブレインストーミングの4原則
ブレインストーミングの効果を引き出し、円滑に進めるために守りたい4原則があります。それぞれ以下で解説します。
1.人の意見を批判しない
ブレインストーミングでは、出されたアイデアに対して批判や否定的な意見をしないことが大切です。批判されることで参加者が自由な発想を躊躇してしまい、結果的に出されるアイデアの数や質が低下することがあります。そのため、「批判をしない」というルールをあらかじめ共有し、誰もが安心して意見を出せる環境を構築するようにしましょう。
2.量を重視する
ブレインストーミングでは、アイデアの質にこだわらず、できるだけ多くのアイデアを出すことに焦点を当てましょう。数を優先することで、多くのアイデアが生まれ、革新的なものや新しい視点を見つけられる可能性が高まります。
また、複数のアイデアを組み合わせて、さらによい解決策を見つけられることもあります。そのため、まずは制限なくアイデアを量産し、その後に整理するように進めましょう。ただし、長時間アイデア出しが続かないように、明確な目標をつくり、アイデアを整理するタイミングを決めておくことが重要です。
3.自由で楽しい発想を心がける
ブレインストーミングは、自由で創造的なアイデアを生む場であるため、硬い雰囲気ではなく、リラックスした環境をつくるとよいでしょう。アイスブレイクを導入して、場を楽しい雰囲気にし、自由な発想を促すといった工夫が効果的です。
4.アイデアをまとめる
アイデア出しが終わった後は、それらを整理するステップが必要になります。出したアイデアをそのままにせず、関連性のあるアイデアをグループ化し、似ているアイデアをまとめましょう。
また、出たアイデアに対する重要度や優先順位も決めておくとよいでしょう。そのうえで他者の意見をもとにさらに改善策を見つけることや、他の意見と結合させるなどをし、新しいアイデアに発展させ、議題に対する結論を出しましょう。
ブレインストーミングのアイデアの出し方
ブレインストーミングでアイデアを出す際には、アレックス・F・オズボーン氏が考案した、「オズボーンのチェックリスト」を参考にするとよいでしょう。オズボーンのチェックリストでは、問題解決や新しい発想を求める際に役立つ9つの視点が示されています。リストの項目にひとつずつ当てはめて考えていくことで、通常の思考パターンにとらわれず、より豊かなアイデアにつなげられるでしょう。
現在のものを他の用途や分野に転用できないか | |
既存のアイデアや似たものからヒントを得たり、他の成功事例を模倣したりできないか | |
意味や形状、色、音、動きなどを変えられないか | |
より大きく、強く、長く、高くできないか。時間、頻度を拡大できないか | |
より小さく、軽く、短く、携帯化できないか。時間、頻度を縮小できないか | |
ヒト、モノ、場所、プロセス、方法など、なにかをほかのもので代用できないか | |
要素、パターン、位置、スケジュール、因果などなにかを入れ替えられないか | |
正反対、前後、上下、左右、プラスマイナスなどなにかを逆転できないか | |
目的、考え、アイデア、単位などなにかを組み合わせられないか |
ブレインストーミングのアイデア整理に活用できるKJ法
ブレインストーミングで生まれた多様なアイデアを効果的に整理する手法のひとつとして「KJ法」が挙げられます。
KJ法は、文化人類学者の川喜田二郎氏によって考案された、集めた情報を関連性にもとづいて整理し、統合する手法のことで、アイデアをグループ化し、論理的に整理して、新たな発見や解決策を導き出せます。KJ法は以下のステップで進めていきます。
1.アイデアを書き出す
まずは、ブレインストーミングで出たアイデアを1つずつ、カード(または付箋)に書き出していきましょう。この際、1つのアイデアには1枚のカードを使うようにし、内容が複雑な場合は要素ごとに分けると整理がしやすくなります。
書き出したカードは、大きな紙や広い机の上など見渡せる場所に並べていきます。この時点では位置や順番にこだわらず、全体を俯瞰しながら自由に並べるのがポイントです。
2.グルーピング
次に、近い内容のアイデアをグループ化し、それぞれのグループに適切なタイトルをつけます。この段階で、アイデアが散在した情報から、関連性のある集まりとして見えるようになります。
3.視覚化
グループ化されたアイデアの関連性を視覚化し、全体の相関図になるようにグループを並び替えます。こうした構造を俯瞰することで、各要素間のつながりを明確にでき、これまで見えていなかった考察や問題点が浮かび上がり、より深い理解が得られるようになります。
4.文章化をおこなう
最後のステップとして、グループ化したアイデアの関係性をもとに文章化をおこないます。相関図を参考にしながら、重要なアイデアから順に説明を加えていくと、よりスムーズに進められます。このプロセスで生まれる説明や文章化に伴って追加される補足は、新たな発想のきっかけとなることも多いです。
また、複数のチームに分かれて文章化作業をおこなうことで、異なる視点や新しい発見が得られる可能性も広がります。
ブレインストーミングで多様なアプローチを見つけよう
ブレインストーミングは、創造的なアイデアを引き出し、チーム全体で問題解決や新しい企画の創出、チームの共通理解の形成に取り組む際に有効な手法です。その効果を引き出すためには、ブレインストーミングの4原則を守り、多様な視点を尊重しながら多くのアイデアを集めることが重要です。
また、集めたアイデアを効果的に整理するためにKJ法を活用することで、異なる視点や新しい発見を得られることが期待できます。ブレインストーミングを活用し、多様なアプローチを見つけていきましょう。