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LMSとは?eラーニングとの違いや活用例、導入時の注意点を解説

2021年07月15日更新

企業の研修としてeラーニングを検討すると、同時に目にすることが多いLMS。eラーニングと同じものだと誤解されがちですが、この2つの定義には違いがあります。LMSやeラーニングの導入を検討している企業のために、LMSがもつ基本的な機能や活用例、導入時の注意点を解説します。

目次 【表示】

LMSとは?

LMSとは、「Learning Management System」の略です。LMSでは、eラーニングなどの実施に必要な学習教材の配信や、人事部門が企画する人材育成プログラムのデータを管理できます。具体的には、従業員ごとの受講履歴や成績、eラーニングの進捗データなどがその一例です。管理できるデータは、eラーニングに関するものだけではなく、オフラインでの集合研修に関するデータも含まれます。データを統合的に管理することで、効果的な人材育成プログラムの実施を支援するツールといえます。

日本語では一般に「学習管理システム」と呼ばれますが、研修管理システム、教育管理システムなど、提供する企業によっても名称が異なります。LMSの種類は、システムの導入方法の観点から、下記の2つがあります。
⮚ オンプレミス型:LMSを利用する企業が持っているサーバにLMSのソフトウェアを導入する
⮚ クラウド型:LMSのソフトウェアを販売している企業がサーバを管理し、外部からアクセスする

LMSとeラーニングの違い

LMSと混同されがちなeラーニング。eラーニングという言葉自体は、CDやDVD、インターネットを通じて提供される学習コンテンツ教材・学習方法を示します。eラーニングシステムの中には、研修担当者や管理職の立場から、受講者のeラーニング受講状況を把握できるものもあります。しかしeラーニングシステムでは、オフラインでの集合研修や社外で受講した研修の受講履歴が把握しづらいという課題がありました。そこで、その課題に対応するべく登場したのがLMSです。

LMSは、受講者と研修担当者、そして管理職と講師の橋渡し役を担います。受講者ごとの受講状況や理解度を総合的に管理することで、より効果的な学習機会の提供につながります。また LMSを活用することで、たとえば「次世代のリーダーに」と考えている人材に、「現在活躍しているリーダー」がこれまで受けてきた開発プログラムを網羅的に受講させる、といったことが可能になります。

LMSの機能

LMSの機能は大きく分けて4つ。「受講者の管理」、「進捗状況の管理」、「成績・受講履歴の管理」、そして近年活用されている「ユーザー間のコミュニケーション」です。

受講者の管理

第一に、システム上で受講者を管理する機能があります。入社や退職などによるアカウントの増減に対応するため、登録・削除機能が搭載されています。また、所属先や職位などでグループ化して管理することで、グループごとに異なる教材の提供も可能です。

進捗状況の管理

受講者に教材を割り当てた後に、受講者の進捗状況をLMS上で確認・管理する機能があります。また、受講者ごとに状況を一覧表示するのも基本的な機能の一つです。さらに、進捗状況をレポートとして出力したり、LMSから受講者への一斉メール・個別メールを送信したりする機能を搭載しているものもあります。

成績・受講履歴の管理

受講後テストが用意されている教材については、LMS上でテストを受験してもらうことも可能です。合わせて、受講したeラーニングやオフラインでの集合研修の履歴も蓄積されます。それらのデータを活用し、テストの成績や受講履歴に応じて、次に受講できる教材を指定するなど、細やかな支援が用意されているLMSもあります。また、研修担当者として人材育成を企画する立場では、過去の優秀な従業員の受講履歴を参照して、次世代リーダー育成プログラムの検討に活用する方法なども考えられます。

ユーザー間のコミュニケーション

LMSには、コミュニケーションツールとしての側面もあります。受講者同士や研修担当者・管理職でメッセージをやりとりできる機能を備えていれば、受講者から講師へ質問することなどもできるでしょう。また、教材に対する評価のアンケート集計や、受講者へのお知らせなどを掲載する掲示板、日報を記録し保管する機能を搭載しているLMSも珍しくありません。

LMS活用のメリット

受講者のメリット

受講者は、LMSの進捗状況管理機能などを通じて「いつまでに何を受講すべきか」を一目で認識できます。それにより学習計画の見通しが立てやすくなり、モチベーションを維持しながら学習できます。また成績や受講履歴から、自身の知識や得意分野、逆に苦手分野を把握できることもメリットの一つです。それらの情報をもとに、今後学習していく分野を自発的に計画する受講者もいるでしょう。

研修担当者・管理職のメリット

研修担当者や管理職にとっては、受講者の情報や教材を一か所に集めて見やすくできることによるさまざまなメリットがあります。研修の実施期間中には、LMS上にテスト結果が自動的に集計されるため、添削や成績分布を分析する手間を省けます。また、受講者ごとの受講履歴や進捗状況を抽出し、一覧で表示できるため、個別フォローがしやすいです。

通年で感じられる効果としては、LMS上に集約されたデータを分析することで、研修計画を効率的に立てられるといったことがあります。長期的な視点では、複数の部署間で横連携をすることで、似たような研修の重複を避けられるなど、企業全体の教育制度の最適化も図れるでしょう。

LMSの活用事例

ここまで、LMSの機能や活用メリットを解説してきました。次は、受講者が単に教材を受講することに留まらない、LMSの活用事例を具体的にご紹介します。

社内ポータルとして活用

搭載されているお知らせ機能や報告機能を活用して、LMSは社内ポータルとしても幅広く利用されています。受講者である社員向けに広く情報を提供することができ、新しい教材や受講の連絡を始めとする、日常的な連絡事項がその例です。

受講履歴を面談時に活用

LMSには、受講者ごとの受講履歴が蓄積されています。そのため、社員と管理職の間などで実施される定期的な面談の場で、社員の状況(受講履歴・進捗状況・テストのスコアなど)を把握する材料の一つとしても活用されます。LMSにある情報は、その社員がこれまでにどのような知識を身に付けてきたか、理解度がどのくらいかを知る重要な情報源となりうるのです。

eラーニングだけではなく、集合研修のデータも集約

LMS上で管理できるのは、eラーニングの情報だけではありません。集合研修についても、受講履歴の登録やアンケートだけはLMS上で実施する方法もあります。そうすることで集計する手間が省け、受講者の教育に関するデータを一元管理できます。また、集合研修の実施前、受講者に一部のコンテンツをeラーニングで予習してきてもらう使い方もあります。講師は、受講者ごとの進捗を把握した状態で研修を開始できるため、より効果的な進め方を考えられるでしょう。

LMS導入時の注意点

導入の目的を明確に

LMSの導入を検討する際には、「どんな課題を解決するために導入するのか」を明確にしましょう。LMS製品はさまざまな企業が提供しており、それぞれに特徴があります。導入の目的に合わせて、製品の選定や運用プロセスを検討しましょう。

たとえば、学習定着率を向上させたいのであれば、受講者のモチベーション維持を助ける機能が搭載されていることを重視。人事評価の評価軸として活用したいのであれば、受講履歴や成績を適正に管理・分析できるLMSを選ぶ、といったイメージです。

運用体制を整える

LMS導入後の運用においては、社内の数多くの部門・人との調整を要します。せっかく導入したにもかかわらず活用できなかった、という残念な結果に陥らないためにも、しっかりと運用体制を整えてから利用開始しましょう。

LMSの運用には、学習管理システムとして全体を管理する以外にも、システムの導入環境の整備、社内システムとの連携、研修を実施するためのコンテンツ作成など、付随する業務は多種多様です。スムーズに運用するため、LMSの管理担当者を中心に、関係者とのコミュニケーションを欠かさないようにします。

データをLMS外でも活用することでより効果を発揮する

LMSは、導入すれば勝手に受講者の学習効率が上がる「魔法の道具」ではありません。データを集約し、現状や傾向を把握することはできますが、そこから見えてきた課題にどう対処するかは、組織内での議論が必要です。場合によっては、受講者に直接声をかける、などのオフラインコミュニケーションも併用していくと有効です。

まとめ

LMSとは、eラーニング教材の提供だけではなく、受講者ごとの受講状況や成績をデータとして管理することで、企業の人材育成プログラムを幅広くサポートするツールです。中には、研修という枠に囚われず、社員間でのコミュニケーションを促す役割も担う製品もあります。LMSを活用することで、情報が一元管理され、受講者の学習定着率向上や研修実施の効率化も期待できるのです。より高い効果を発揮するためには、LMS導入時にその導入目的や求める効果を明確に定め、商品選定や運用プロセスを慎重に検討することが大切です。

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