HR Trend Lab

MENU

HR Trend Lab

離職率悪化にもつながる人事評価への不満。改善のための3つのポイント

2026年03月11日更新

評価

人事評価に対して「納得していない」「上司によって評価がばらつく」など、社内に不満の声が出ている場合、早急な対処が必要です。人事評価への不満は、部下の成長や離職率にも悪影響を及ぼしかねないためです。

一方、「なにから手をつけてよいのか分からない」という人事担当者や管理職も多いはず。本記事では従業員が人事評価に不満を抱く背景を紐解きつつ、不満を低減させるための具体的な方法を紹介します。

目次 【表示】

人事評価制度とは

人事評価制度とは、従業員の能力やパフォーマンス、業務への貢献度などを評価した上で、企業の目標と照らし合わせて従業員個々の給与・賞与・昇進などに評価結果を反映させる制度のこと。
評価の種類としては以下3つが挙げられます。

  • 能力評価:従業員の能力や能力がどれほど発揮されたのかを評価する
  • 業績評価:従業員の成果や目標の達成度合いを評価する
  • 情意評価:従業員の勤務態度や行動、責任感など、仕事に対する姿勢を評価する

上記3つの評価軸を用いて、多くの企業では四半期・半期・1年などのスパンで、定期的に評価をおこないます。

人事評価制度の目的

人事評価制度の目的は以下の2点です。

  • ・従業員に対して期待する行動、求める能力を明確にする
  • ・組織目標や人材育成と紐づける

前者について、人事評価制度により「企業が従業員に求める行動や能力を明らかにする」ことで、それが従業員にとっての行動指針となります。指針がハッキリすることにより、結果的に従業員の能力発揮促進が期待できるでしょう。

後者について、人事評価制度を組織目標と紐づけることで、従業員に対して「日々の業務がいかに企業に貢献しているのか」の理解を促し、主体的に働く従業員を増やすことが期待できます。さらに人事評価制度で目標を掲げることで、従業員の現状のスキルや能力のギャップも見える化されます。管理職がそのギャップを踏まえて適切なフィードバックをすることで、人材育成にも活かすことができます。

従業員が人事評価に対して不満を抱く3つの背景

ビジネスパーソン

従業員が人事評価に対して不満を抱く背景として以下3つが挙げられます。

  • ・そもそも人事評価制度の内容が「浸透」していない
  • ・管理職にマネジメントスキルや部下育成のスキルがない
  • ・被評価者が「見てもらって当然」というスタンスになっている

なお、実際に、厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、自己都合による離職の理由について、約7人に1人にあたる15.3%が「能力・実績が正当に評価されないから」と回答しています。人事評価制度への不満を持つ人の数は決して少なくないことが推測されます。

※出典:厚生労働省|令和2年転職者実態調査の概況

人事評価基準が「明確」でなく、制度が「浸透」もしていない

人事評価制度は「設計2割・運用8割」と言われています。これは「制度を効果的に運用するためには、設計には2割ほどの労力を割き、残りの8割を実際の運用に注力すべき」ということ。たとえば、評価者各々が各々の尺度で評価をおこなうと、公正性や公平性が失われ、制度自体が形骸化する恐れもあります。それほど運用は重要なポイントなのです。

その上で、制度を有効に運用するためには、制度の基準および内容が「明確であること」と「浸透していること」が不可欠です。なぜなら、基準と内容が明瞭でなく浸透もしていない場合、評価者・被評価者双方が制度の意図と反した運用をしてしまうリスクがあるためです。そうなった場合、被評価者は「評価者が独自の基準で自分を評価している」と感じてしまい、不満感を抱きやすくなるでしょう。

管理職にマネジメントスキルや部下育成のスキルがない

人事評価は部下の育成や成長に密接に関連します。しかし、評価スキル以前に、評価者が業務管理やフィードバック・コーチングなどのマネジメントスキルや部下育成のスキル、育成マインドに乏しい場合、評価が短期的かつ組織的な目標に偏ったり、フィードバックの質も低下したりします。

たとえば「成果を数字のみで評価する」「自律型人材を目指して欲しい」など、評価やフィードバックが短絡的または抽象的なものになってしまう恐れがあるのです。これでは、被評価者は評価に対して納得感が得られず、不満が蓄積してしまうでしょう。

被評価者が「見てもらって当然」というスタンスになっている

被評価者が「評価者(管理職)は自分のことを見ていて当然」というスタンスでいる場合、被評価者自身が不満が発生する要因である可能性もあります。このようなスタンスを取る被評価者は、評価者に対して業務進捗や成果などの報連相をおこなう機会は減ることでしょう。

しかし、とくに多忙化が進む現在の管理職は、部下一人ひとりの頑張りを正確に把握することはできません。その結果、被評価者の中で「管理職は自分の頑張りを見ているはずだ」という認識と、「実際には十分に自分の頑張りが伝わっていない」という現実にギャップが生じ、「思ったよりも評価されていない」という不満に繋がることがあるのです。

人事評価の不満に対処しないことの2つのリスク

リスクのイメージ

人事評価への不満に対処しない場合、どのような事態が起こり得るのでしょうか。ここでは2つのリスクを解説します。

被評価者(部下)の成長を阻害してしまう

人事評価と自己評価の乖離により、被評価者(部下)は「頑張っても報われない」「頑張っても評価されないなら少し手を抜こう」などと考えやすくなります。その結果、被評価者はモチベーションを失い、行動量が減って、成長の機会を逸してしまう恐れがあります。さらに、成長に乏しいことから評価が悪くなり、またモチベーションが下がって行動量が減り…という負のスパイラルに陥りかねません。

離職率が高まる

先述した通り、人事評価に対する不満はモチベーションの低下を招きかねず、その結果、被評価者(部下)の退職リスクも高まります。「ここの会社で頑張っても正当な評価は受けられない」「もっと自分を評価してくれる会社に転職したい」と考える人が増えるためです。

一人の退職が引き金となり退職者が増える「連鎖退職」が起きてしまえば、その悪影響は計り知れません。残っている従業員一人当たりの業務量の増加や、採用・育成コストの増加、企業イメージも悪化することでしょう。

従業員の人事評価に対する不満を改善する3つのポイント

ポイントのイメージ

ここでは従業員が抱く人事評価に対する不満を改善するための3つのポイントを解説します。

人事評価制度の発信・啓発をおこなう

人事評価制度では、設計よりも運用が重要です。特に重視すべき運用ポイントは、「人事評価制度の発信と啓発」です。具体的な方法としては、例えば以下が挙げられます。

  • ・評価制度の概要や仕組みをまとめたe-ラーニングを全従業員へ配信する
  • ・研修などにより、評価者、被評価者の双方が適切に評価制度を運用できるような教育を実施する

人事評価制度は一朝一夕で十分な浸透を図れるものではありませんが、評価者・被評価者双方に丁寧に発信をすることで、着実に従業員の理解と納得感を高められることでしょう。

評価者のマネジメント力を強化する

先述した通り、評価者(管理職)にマネジメント力が不足していると、被評価者は納得感のある評価を受けられない可能性が高まります。だからこそ、評価者はマネジメント力を強化し、被評価者のやりたいことや志向性を正確に理解するとともに、個人目標を上位方針との齟齬がない形で落とし込むことが求められます。

また評価者がマネジメント力を強化する方法にはたとえば以下が挙げられます。

  • ・被評価者と良好な関係性を構築するための「コミュニケーションスキル」を強化する
  • ・上位方針や目標、また実行結果に対してのフィードバックなどをわかりやすく伝えるための「論理的思考力」を強化する

なお、マイナビ研修サービスでは上記2スキル(コミュニケーションスキル・論理的思考力)の強化に寄与する、既存管理職を対象とした研修を提供しています。こちらもぜひ参考にしてください。

被評価者の主体的な関与を促す

先述した通り、被評価者が「管理職に自分の動きを見てもらって当然」というスタンスでいる場合、被評価者による報連相がおざなりになります。その結果、現実的に実態のすべてを把握できない評価者は、被評価者の自己評価よりも低い評価をしてしまうリスクがあります(その結果、被評価者の不満が高まってしまう)。

上記リスクの低減のためには、被評価者に“見てもらう側”から“自ら評価プロセスに参加する側”への意識の転換、および主体的な評価プロセスへの関与をしてもらうことが重要です。人事部門や管理者としては、単に双方のコミュニケーションを促すだけでなく、たとえば、以下のように“被評価者に評価の全プロセスにおいて自律的に行動する姿勢を後押しする施策”が求められます。

  • ・MBO(目標管理制度)を導入している場合、被評価者に対してeラーニングや動画コンテンツで業務進捗共有のやり方を教育する
  • ・コミュニケーションの場の設定のため、中間面談を実施する

ポイントは上記のような施策を通じて、被評価者の“評価される側”という受け身の意識を変革し、“自分の成長・成果を自らマネジメントする姿勢”を育むことができます。その結果、報連相を含むコミュニケーションは自然と活発になり、評価者との認識ギャップも縮まることで、より納得度の高い評価プロセスが実現していくでしょう。

まとめ

ビジネスパーソン

人事評価への不満を放置してしまうと、被評価者の成長にブレーキをかけてしまったり、離職率が高まってしまう恐れがあるため、早急な対策が必要です。そもそも従業員が人事評価制度に不満を抱く背景には、「制度内容が十分に広まっていない」「評価者のマネジメントスキル不足」など、制度内容自体に対するもの以外の要素も大きいのが実情です。

だからこそ、人事担当者は、e-ラーニングの配信等による「制度の発信・啓発」を実施しつつ、被評価者(管理職)に研修などを実施することでの「評価者のマネジメントスキル強化」を進め、従業員の人事評価に対する納得感を高めてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
人気記事ランキング
注目キーワード
研修・診断サービス
  • マイナビ エンゲージメント・リサーチ
  • 社会人基礎力診断
  • ムビケーション
→
←
Career Research Lab マイナビ研修サービス ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 外国人採用サポネット 日本エンゲージメント協会 HUMAN CAPITAL サポネット ナレビ マイナビキャリアサポート