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アンコンシャス・バイアスが職場にもたらす影響は?事例や対処法をわかりやすく解説

2023年04月19日更新

「アンコンシャス・バイアス」とは、「無意識の偏見」を意味する言葉です。個の多様性を認め、それを企業活動に生かす風潮が浸透しつつある今、アンコンシャス・バイアスへの取り組みは企業における課題の一つです。

アンコンシャス・バイアスは、日常生活だけでなく職場でのコミュニケーションにも影響を与えるといわれています。円滑なコミュニケーションと職場の雰囲気づくりのために、企業はどのようにしてアンコンシャス・バイアスへの対策を講じればよいのでしょうか。

本記事では、アンコンシャス・バイアスの概要とあわせ、事例やその対応策をご紹介します。

目次 【表示】

アンコンシャス・バイアスとは

「アンコンシャス・バイアス」とは、「無意識の偏見」を意味する言葉で、本人の自覚がない中での偏見や先入観を指します。

人は、過去の経験や周囲の意見、接する情報などにより気づかぬうちに偏見を形成しています。アンコンシャス・バイアスは誰にでもあるもののため、日常生活だけでなく職場やその他の場面でも言動に影響を及ぼします。

アンコンシャス・バイアスは「よいもの・わるいもの」と単純に区別できるものではありません。しかし、無意識の偏見による自身の言動で他者を傷つけてしまうことがあります。性別や家族構成によって配属先や業務を決めてしまう、年齢や性別によって話し方を変えてしまうなどの例もアンコンシャス・バイアスにあたります。

また「できるわけがない」「この仕事は別の属性の方がおこなうべき」など、自分自身の偏見によって自分の将来の可能性を狭めてしまうこともあります。

近年では、「ダイバーシティ&インクルージョン」を重要視する企業が増え、多様な人材の活用が進んでいます。それぞれの多様性を受け入れ尊重し、企業活動の活性化を目指すためには、アンコンシャス・バイアスへの対策を進め、多様性を受け入れる職場をつくることが重要です。

アンコンシャス・バイアスの典型例

アンコンシャス・バイアスには、いくつかの代表的な例があります。具体的にどのような考え方がアンコンシャス・バイアスにあたるのか、アンコンシャス・バイアスの6つの典型例とあわせてご紹介します。

正常性バイアス

正常性バイアスとは、予期せぬ事態に直面したときに、自分に都合の悪い情報を無視や過小評価し、平静を保とうとすることを指します。正常性バイアスは、心が疲弊しないよう、ストレスを回避するために必要な働きです。

たとえば、プロジェクトにおいて致命的なミスが発生した際、正常性バイアスが働くことでそれをプロジェクト全体への影響は少ないなどと過小評価して改善に取り組まず、後々に大きなトラブルに発展することがあります。

アインシュテルング効果

自分の慣れ親しんだ思考や視点に固執することにより、他の思考や視点に気づかない、あるいは無視をしてしまうことをアインシュテルング効果といいます。プロジェクトの進行についてより効率的な方法やツールがあったとしても、慣れ親しんだ方法やツールから変更しないといった例がこれにあたります。

確証バイアス

自分の先入観や仮説を肯定するために都合のよい情報ばかりを収集し、反証する情報を収集しないことを確証バイアスと呼びます。たとえば、新規事業案に対し仮説検証をおこなう際、その事業や商材に対し肯定的なユーザーの意見ばかりを集め、否定的な意見を集めないことで分析に偏りが出てしまうようなケースです。

ステレオタイプバイアス

固定観念や先入観により、あるグループに所属するものには、特定の特徴があると判断することをステレオタイプバイアスと呼びます。Z世代は全員ITリテラシーが高いと思い込んでしまうような例がこれにあたります。

慈悲的差別

自分よりも立場が弱い者に対する、好意的かつ勝手な思い込みを慈悲的差別と呼びます。たとえば、多くの案件を担当している部下に対し、業務過多だろうと上司が勝手に仕事量を減らすなど、本人の意向を確認せずに不要な配慮をおこなうことが挙げられます。

ハロー効果

ある人物のもつ一部の特性によってその人物の全体を評価してしまうことをハロー効果と呼びます。営業成績が優秀な従業員に対し、管理職としても活躍できるだろうと評価するような例がこれにあたります。

身近なアンコンシャス・バイアスの例

前述した例以外にも、アンコンシャス・バイアスが働いている例は多く存在しています。ここからは、職場におけるよくあるアンコンシャス・バイアスの例をご紹介します。

<採用におけるアンコンシャス・バイアスの例>
・性別で採用可否の判断をする
・家族構成で採用可否を判断する

<人事評価におけるアンコンシャス・バイアスの例>
・部下との主観的な相性で評価を変える
・上司は部下よりも優秀でなければならないという考えのもと評価をおこなう

<配属・昇進におけるアンコンシャス・バイアスの例>
・女性には転勤のある部署への配属をおこなわない

<担当業務・業務内容におけるアンコンシャス・バイアスの例>
・性別によって業務の向き・不向きを判断する
・年齢によって担当業務を決定する

ここで挙げた例のようなケースを無意識や配慮のつもりでおこなってしまうこともあるでしょう。このようなアンコンシャス・バイアスがあることで、多様な人材の活用が進まないなど、企業全体へ影響を及ぼすことも考えられます。

アンコンシャス・バイアスが企業に与える影響

アンコンシャス・バイアスに対し、対処せずにいることで企業には次のような影響が現れる可能性があります。

企業内部に与える影響

企業内部においては、「こうあるべき」などのこだわりが強くなり、従業員自身が人生や仕事において、自己決定の際の選択肢を狭めてしまうことがあるかもしれません。また、決めつけによって社内のコミュニケーションに支障が出るケースもあります。

加えて、属性と役割が無意識に結びつくことで、性別や年齢が配置に影響し、適材適所の人材活用が難しくなることもあります。これにより、モチベーションの低下やストレスの増加などの影響があらわれる従業員もでてくるでしょう。

組織外部に与える影響

組織外部においては、アンコンシャス・バイアスにより社内の常識と一般の常識が剥離し、取引先などとの信頼関係に悪影響をおよぼす可能性があります。たとえば、創業年や代表の経歴で取引先などのイメージを定めてしまうことにより、ビジネスチャンスを逃してしまうことがあるかもしれません。

また、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みは投資や入社の際の判断材料になることもあり、アンコンシャス・バイアスに対処しないことで自社に対する印象を下げてしまう可能性も考えられるでしょう。

アンコンシャス・バイアスへの対処法

アンコンシャス・バイアスによる企業への影響を軽減するためには、企業全体でアンコンシャス・バイアスとはなにかを学び、従業員それぞれが自身のものの見方や思考の癖に気づくことが大切です。

それらを学んだ後は、アンコンシャス・バイアスによる言動や思考への影響を軽減するために、意識して考え方に反映できるようトレーニングをおこなう必要があります。

アンコンシャス・バイアスは、長い年月をかけて形成されることもあるため、すぐに取り除くことはできません。繰り返し学びとトレーニングをおこなうことが重要です。

全社的にこのような取り組みを進めるために、まずはアンコンシャス・バイアスに関連する研修の実施を検討してみましょう。

まとめ

人間が持つ無意識下の偏見は、日常生活だけでなく仕事にも影響を及ぼすことがあります。一人ひとりのアンコンシャス・バイアスが企業全体にも影響し、ブランド価値や信頼の低下を招いてしまうこともあるため注意が必要です。

多様な人材の活用は、これからの企業の成長に不可欠です。多様な人材の活用を促進するためにも、研修を全社的に実施するなどしてアンコンシャス・バイアスへの対策を講じましょう。

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