最強のチームを作る!知っておきたいチームビルディングのノウハウ
多くの企業や組織が、決められた目標を達成するためにチームを組んで業務にあたるという方法を採用しています。その主な理由は、個人で作業をするよりも効率的であるという点にあります。
しかしながら、チーム編成やリーダーの選び方、チームの運用方法によっては、効率が上がるどころか目標達成にいたらない場合も……。チームビルディングを成功させるためには何が必要なのか、ノウハウが分かりやすく書かれているのが“Team Building: One hour workshop”(著者:Carol A. Silvis、出版社:Cengage Learning)です。
チーム編成のメリットは企業にも従業員にもある
優れたチームを編成できれば、業務を効率的に推進して生産性を高め、利益拡大につなげられます。これは組織としてのメリットですが、チームメンバーである従業員にもプラスになる面がいろいろとあります。“Team Building: One hour workshop”では、チームビルディングが双方にもたらすメリットとして、次のようなものをあげています。
・ブレストの活性化と問題解決能力の向上
・アイデアベースの拡張
・チームメンバー間の連帯を形成
・チームとほかの従業員との協力関係作り
・品質管理の向上
・知識・スキルの共有
など。
チームビルディングによる効果のなかでも「知識・スキルの共有」は、大きなメリットのひとつ。もちろん、知識やスキルは、トレーニングプログラムや研修を通じて身につけることも可能です。しかしながら、異なる部署に所属するメンバーとともに業務を進めるなかで、生きた情報を得たり実践的にスキルを学んだりできるのが、チームワークの利点といってよいでしょう。
また、メールが主たるコミュニケーション手段となっている企業が多い現代ですが、チームを編成すると、メンバーが実際に集まってディスカッションをしたり、アイデアを出し合ったりする機会が増えます。それが、同書が述べている「ブレストの活性化と問題解決能力の向上」や「アイデアベースの拡張」につながるのです。
チームメンバーを選ぶときにおさえておきたいポイント
適切な従業員を選んでチームを作るためにはさまざまな点を考慮する必要があり、「どこから手をつけたらよいだろう……」と迷ったり、人選を進める過程で行き詰まったりすることもあります。
そんなときには、「なぜ、このチームを作るのか?」という目的を、もう一度考えてみましょう。
これから編成しようとしているチームはなぜ必要なのか、例えば、「目標達成期限まで時間が短いので、多人数で集中的に業務を行いたいから」「ミスを減らすため複数の人がお互いにチェックしあう機能が必要だから」など目的を具体的にし、そのために必要な規模や人材を考えるとよいでしょう。
そのほか、チーム編成に際しておさえておきたいポイントとして、“Team Building: One hour workshop”は以下のような点をあげています。
・チームメンバーを選ぶのは誰か?
・何人くらい必要なチームか?
・個々のチームメンバーには、どのような形でチームに貢献してもらいたいのか?
・チームメンバー候補者は、ほかのメンバーとうまくやっていけそうか?
・どのようなスキルを持った人材が、何人くらい必要か?
など。
また、チームメンバーを選ぶ際には、あの人もこの人もメンバーにしたいと思う場合が少なからずありますが、チームの規模は大きくしすぎないように心がけましょう。なぜなら、チームが大きくなるとディスカッションに費やす時間が長くなりすぎて意思決定が遅れたり、協調的なチームを作るのが難しくなったりする傾向があるからです。また、小編成のチームの方がモニターしやすいという利点もあります。
リーダーに求められる資質とは?
チームリーダーの最も重要な役割は、チームの最高の力を引き出し目標達成に導くこと。それを実行するために必要な能力のひとつがインターパーソナルスキルです。
インターパーソナルスキルとは他人とうまくかかわる能力のことで、例えばコミュニケーションや人間関係作りにたけていることを意味します。チームメンバーを理解したりサポートしたりと、情報を効果的に伝えるうえで欠くことのできないスキルです。
“Team Building: One hour workshop”では、リーダーに求められるインターパーソナルスキルの例として以下のようなものをあげています。
チームリーダーがそなえるべき資質
- チームメンバーに対する深い理解
- 情報を拡散させ、明確に説明できる能力
- 判断を下すためではなく、純粋に人の意見をきくことができる能力
- 自らが強い責任感を持っているとともに、それをチームメンバーにも持たせることができるような能力
- チームメンバーのモチベーションを上げる力
- メンバー間の対立を仲裁したり、問題を解決したりする能力
など。
インターパーソナルスキルのほか、チームリーダーには意思決定力やプロジェクト管理能力なども求められます。意思決定力とは、問題に直面したときに最良の判断ができること。リスクをとる力と言い換えてもよいでしょう。また、プロジェクト管理能力としては、進捗状況をモニターし必要に応じてマイルストーン設定を変更できること、業務をスムーズに進めるために必要なリソース、(道具、設備、予算、人員など)が確保されているかどうかをチェックできることが含まれます。
ここまでは「チームビルディングの意義と人選のポイント」についてお話ししました。続いて「チームの運用」に焦点をあて、リーダーが最初にやっておくべきことやメンバーのモチベーションをアップする方法、また、チームビルディングのためのゲームなどを紹介します。
チームリーダーが最初にやるべきこと
チームの規模や属性、編成などによって異なるリーダーシップのとりかたが考えられます。しかしながら、どのようなチームであれ、プロジェクトの始動時にリーダーがまずやるべきことがあります。それは、チーム目標を分かりやすく説明してチーム内に浸透させること、そして、その目標に向かってそれぞれのメンバーが何をすべきかを明確にすることです。
「メンバーなのだから、チームの目標くらい理解しているはず」と思いこまず、きちんと説明しましょう。「よく分からないけど、基本的なことすぎて質問しにくい」「プロジェクトが動き始めたら、だんだん分かってくるだろう」などと思っている人がいるかもしれません。
さらに、一方的に話をして終わらせるのではなく、各メンバーが自らの果たすべき役割をよく理解しているかどうかを「確かめる」ことも大切です。リーダーがひとりひとり面談する時間があれば理想的ですが、チームの規模によっては、難しい場合もあるでしょう。そんなときに役立つのがセルフチェックシートです。
“Team Building: One hour workshop”が提案するチェックリストは、以下のような項目から構成されています。
メンバーの理解度チェック項目
- チームの目標を理解している。
- チームの目標達成のために、自分が果たすべき役割を具体的に理解している。
- 自分自身の個人目標を設定している。
- 個人目標の達成期限を知っている。
- 個人目標を達成することが、どのようにチーム目標の達成に貢献するのかを理解している。
- 複雑な作業は少しずつ段階的に進めるなど、目標達成にむけたアクションプランがある。
など。
以上のような項目に対して、すべて「イエス」と答えられるかどうかを、メンバー各自でセルフチェックしてもらいましょう。「イエス」でない項目があれば、分からない点を聞いて解決する必要があります。
チームのモチベーションを上げる
チームの力を引き出すためには、チームメンバーのモチベーションアップが不可欠です。モチベーションの高いチームは積極性があり、困難な状況に面しても、それを乗り越えて目標を達成しようという意欲があります。
モチベーションを左右する要因として、多くの人が最初に思い浮かべるのは金銭的な報酬。確かに、報酬は少ないより多いほうがよいでしょう。しかしながら、働く意欲をうむのは報酬だけではありません。「自分がやっていることには意義がある」と思えることが重要です。
例えば、目の前に大量の資料が積まれているとします。そして「これを全部隣の部屋に運んでください。終わったら、また全部この部屋に戻してください。あなたの仕事は、毎日、就業時間中それを繰り返すことです」と言われたらどう思うでしょうか? 「いったいこの作業にどういう意義があるのだろう?」「この作業は会社にとって何の役に立つのだろうか?」と思いませんか?
自分の担当業務が、会社にもチームにも貢献していると思うことができればやる気も出てきます。メンバー各自がこのような認識を持てるよう、チームリーダーが導きましょう。
“Team Building: One hour workshop”では、チームのモチベーションに影響を与える要素として次のようなものをあげています。
モチベーションアップのためのヒント
- チームのビジョンと目標、また、社内におけるチームの重要性を明確にする。
- 各メンバーに達成目標を与え、その重要性を理解させる。
- メンバー全員が、進捗状況を常に把握できるようにする。
- 活発なコミュニケーションを推進する。
など。
チームリーダーからの声かけや励ましに加え、プロジェクトの進み具合を示す図表を掲示したり、仕事の質や達成度に応じて適切な評価・表彰をしたりするなど、貢献度が具体的に分かるようにするのも効果的です。
チームのモチベーションアップをはかると同時に、モチベーションを下げないように目を配るのもリーダーの役割。モチベーションを下げる要因も把握しておきましょう。
こんなときに、モチベーションが下がる……。
- 決められた仕事をしないチームメンバーがいる
- チームメンバーの間で対立がある
- チームメンバー間の情報交換がない
- リーダーによるチームメンバーの扱いが不公平である
- リーダーシップ不足
- ミーティングに際して準備が不十分なチームメンバーがいる
など。
いつも否定的な意見を言ったりほかのメンバーとの協調性に欠けたりするようなメンバーがいると、チーム全体の士気が下がります。ネガティブな言動が目立つメンバーには早めに対処するよう心がけましょう。
オフィスですぐできる!チームビルディングに役立つゲーム
最後に、チームビルディングに役立つゲームを紹介しましょう。どれも、オフィスで簡単にできます。
まずは、自己紹介をしやすくするゲームです。初めて顔を合わせる人たちの前でひとりずつ立って自己紹介、というのが苦手な人も、一対一ならあまり緊張せずにできるのではないでしょうか。
ゲーム1:お互いを知ろう
- ペアで相手に3つの質問をし、答えを聞きます。
- 終わったら、相手について分かったことを参加者全体で共有します。
次の2つは、プロジェクト稼働後、ある程度の期間が経過したチームの雰囲気をリフレッシュするゲームです。
ゲーム2:ウソ?本当?
- 自分のことについて、正しい事実を2つ、ウソを1つカードに書いてもらいます。
- 書き終わったら1枚ずつカードを読み上げ、参加者全員でどれがウソかを考えます。
- 全員の意見が一致する答えがあたっているかどうかを確かめます。
ゲーム3:ハンティング
- 仕事に関連するアイテムをいくつか選んでリストを作り、参加者全員で探してもらいます。
- 探す場所の範囲はあらかじめ伝えておきます。
- 決められた時間が経過したら、探すのをやめて、リストのアイテムを見つけるために、どんなハンティングをしたのかを話し合ってもらいます。
以上、“Team Building: One hour workshop”を参考に、チームビルディングのノウハウを紹介しました。同書には、「成功するチームづくり」「チームをオーガナイズする」「役割と目標の設定」などのテーマごとに、ポイントの箇条書やチェックシートがついており、分かりやすく実践的な本です。
センゲージ ラーニング株式会社は米国ボストンに本社を置く教育情報サービス企業、Cengage Learning 100%出資の日本法人です。生涯学習にかかわるさまざまなソースを提供する世界有数の教育情報プロバイダーとして、教育現場の子どもから大学院レベルの学生や教師、または、教育機関へ、多種多様なニーズに応じた商品やサービスを提供しています。
企業名 センゲージ ラーニング株式会社 (英文名: Cengage Learning K.K.)
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