新入社員のコミュニケーションスキル強化の方法は?4つの注意点も解説

「報連相ができていない」「相手の立場を踏まえた発言ができない」など、新入社員のコミュニケーションスキルに課題を感じている人事担当者や管理職も多いことでしょう。「新入社員のコミュニケーションスキル強化」は、新入社員自身だけでなく、チームおよび企業の生産性向上にも寄与する、大切な人材育成のテーマです。
そこで本記事では、マイナビ研修サービスの意識調査を踏まえて新入社員が抱えるコミュニケーション課題を明らかにしつつ、スキル向上を図るためのポイントや方法を解説します。
新入社員が抱えるコミュニケーション課題

新入社員のコミュニケーション課題の傾向として「コミュニケーションが受け身」「報連相が不十分」「周囲とうまく関係性を築けていない」などが挙げられます。これらのコミュニケーション課題から、新入社員および周りの社員の業務が停滞し、チーム全体の生産性にも悪影響を及ぼすことがあります。
新入社員自身もコミュニケーションスキルの不足を感じている
マイナビ研修サービスが実施した意識調査からは、新入社員が抱えるコミュニケーション課題の背景を見て取ることができます。同調査の「これから自分に必要だと思う力は何ですか」に対する回答割合が多かったトップ1・2が「自分の意見をわかりやすく伝える力(36.3%)」と「他人に働きかけ巻き込む力(28.9%)」でした。
つまり、これから必要なのは「伝える力・巻き込む力(≒コミュニケーションスキル)」であり、新入社員自身もコミュニケーションスキルの不足を自覚していることがわかります。これは裏を返せば、新入社員のコミュニケーションスキルを高めることができれば、「新入社員に主体的な業務遂行が期待できる」といえるかもしれません。
新入社員のコミュニケーションスキルを強化するメリットは大きい

コミュニケーションスキルは社会人全員に共通して求められるスキルだからこそ、新入社員のうちに身につけて欲しいスキルでもあります。
また、新入社員の大切な仕事の一つが「上司や先輩社員から仕事のやり方を学ぶこと」です。新入社員の質問力や傾聴力などコミュニケーションスキルを強化した結果として、新入社員は業務知識や仕事の進め方などを吸収することができます。そして、それは早期に活躍できる新入社員の増加をもたらし、ひいてはチームや企業全体の業績向上にも繋がります。
またコミュニケーションが上手な新入社員は、上司や先輩社員との関係性も良くなりやすいでしょう。そのため、コミュニケーションスキルの高い新入社員を増やせれば「仕事の面白さが分からない」「上司や先輩との人間関係が上手くいかない」などと感じる新入社員を減らし、早期離職防止の効果が見込まれます。
新入社員のコミュニケーションスキルを高める上での4つの育成ポイント

新入社員のコミュニケーションスキルを高める上で押さえておきたい4つのポイントを解説します。
相手を慮る「心構え」を身につけさせる
コミュニケーションは一言でいうと「相互理解」であり、相手の存在があってはじめて成り立つものです。つまり、コミュニケーションは相手あっての行為になります。
一方で、「相手の状況や特性を踏まえて、相手が伝えることを理解しよう」という心構えが欠けるケースも少なくありません。それではコミュニケーションの齟齬が生まれるのは当然のこと。最悪の場合、相手との信頼関係も毀損しかねません。
だからこそ、コミュニケーションスキルの強化を図る土台として、新入社員には「相手の立場に立って考える姿勢こそがコミュニケーションの基盤」であることをしっかり伝え、「相手を理解(しようと)する心構え」を身につけさせることが大切です。
なお、具体的な方法としては、たとえば新入社員に上司役や顧客役などさまざまな立場を演じてもらう「業務のロールプレイング」も効果的です。
論理的思考力を育成する
「論理的思考力」が不足していると、コミュニケーションエラーが発生する可能性が高まります。なぜなら、円滑なコミュニケーションを実現するためには「相手から得た情報を整理して咀嚼する」「自身が伝えたい情報を整理して概念化する」などのプロセスが必須ですが、そのプロセスにおいては高い論理的思考力が不可欠なためです。
たとえば営業報告の要点を整理できていなければ、いくら伝え方(=表現力)が優れていたとしても、結局なにがポイントなのか、よくわからない報告になってしまいます。だからこそ、「聞き方・伝え方」などのコミュニケーション手法(テクニック)の強化とあわせて、「情報を処理・整理する思考力(=論理的思考力)」の強化も進めましょう。
コミュニケーションのゴールを「相手を動かすこと」に据えて教育をおこなう
ビジネス上のコミュニケーションは、相手に「伝えて終わり」ではありません。ビジネスは成果を出すことを目的としている以上、情報を伝えた先に「プロジェクトを進行する」や「問題を解決する」など、「相手を動かし業務を推進していくこと」がビジネスコミュニケーションのゴールになります。新入社員にコミュニケーション教育をおこなう際には必ずこのことを伝え、コミュニケーションに対する捉え方を統一することが大切です。
その上で、相手を動かすためのコミュニケーションスキルを身につけてもらうためには、1対1だけでなく、より難易度の高い1対多・多対多といった対複数人(対組織)のコミュニケーションスキル強化を図ることが大切です。
なお、具体的な強化方法としては、たとえば「グループディスカッションの実施」や「ワークショップで新入社員の発言の場を積極的に設ける」などの取り組みも有効です。
上司や先輩社員もコミュニケーションスキルを強化する
コミュニケーションが苦手なのは新入社員や若手社員の課題と思われがちです。ただ、新入社員は周囲の社員を見て成長する側面もあることから、実は新入社員のコミュニケーションスキル不足の原因の一つが、周囲の社員の振る舞いやスキル不足などに起因する可能性も考えられます。
だからこそ、新入社員のコミュニケーションスキル強化を図るためには、上司や先輩社員のスキルも同時に高める施策を実施することが大切です。
新入社員のコミュニケーションスキルを高める4つの方法

新入社員のコミュニケーションスキルを高める方法を4つ解説します。
2つのステップで相互理解を深める
コミュニケーションは相手あっての行為です。だからこそ、円滑なコミュニケーションを実現するためには、自分だけでなく相手の状況や特性を理解すること(=相互理解)が大切です。そして、相互理解を深めるためには以下2つのステップを経ることがポイントです。
- ●ステップ①「自己理解」:自分自身の思考や感じ方、行動特性を知る
- ●ステップ②「他者理解」:相手の思考や感じ方、行動特性を知る
自己と他者を理解することで、相手と自分の違いを客観的に認識することができます。それにより、新入社員は「相手が自分と異なる意見を言っているのは、自分は○○と考えているが、相手は△△と考えているからだろう」と思考できるようになり、結果的にコミュニケーションエラーが減ることでしょう。
論理的思考力を強化する
先述した通り、コミュニケーションエラーを減らすためには、情報の整理や概念化に寄与する「論理的思考力」の強化がポイントです。具体的な強化方法としては、たとえば以下を検討しましょう。
- ●意見を言語化する:言語化のためには言葉の正確性や伝わりやすさを考える必要があり、そのプロセスを通じて論理的思考力を高められる
- ●セルフディベートの実践:自分自身のなかで意見を戦わせる(=セルフディベート)プロセスにて根拠や理由を考えることを通じて、論理的思考力を高められる
- ●ロジカルシンキング研修の受講:研修で演繹法や帰納法などの思考方法や実践テクニックを学ぶ
論理的思考力の強化は日頃からのトレーニングが必要です。とくに「意見の言語化」および「セルフディベート」は一人で取り組めるため、毎日でも実践できるはずです。
「PREP法」の活用をして相手を動かす力を養う
ビジネス上のコミュニケーションは「相手を動かすこと」がゴールですが、相手を動かすためには「自身の考えを適切に伝えること」が必要です。そして、そのためにはPREP法の活用が有効です。
PREP法:「Point(導入結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(最終結論)」の順番で情報を伝えるコミュニケーション手法
PREP法は結論から話すことで、自身の考えをわかりやすくかつ効率的に伝えられる点が特長です。会話に苦手意識がある新入社員でも、PREP法を用いることで伝える力、ひいては相手を動かす力を高められるでしょう。そのほか、PREP法はそのシンプルな構造ゆえに新入社員でも十分に早期習得が可能な点もポイントです。
誰もが話しやすい雰囲気づくりをする
階層を問わず、コミュニケーションスキルの強化には会話の場数を踏むことが重要です。相手の状況を把握して適切に反応する力は、実践の場を通じてこそ身につきます。だからこそ、社員の誰もが話しやすい雰囲気を醸成することで、社員全員の会話の総量を増やすことが大切です。
なお、雰囲気づくりのポイントに「上司や先輩社員の働きかけ」が挙げられます。具体的には「新入社員へ積極的に話かける」「新入社員の言動をまねる(ミラーリング)」などが有効です。誰もが話しやすい雰囲気づくりをつくることで、新入社員だけでなく上司や先輩社員のコミュニケーションスキル強化も期待できます。
新入社員のコミュニケーションスキル強化は企業全体に好影響をもたらす

新入社員のコミュニケーションスキルを高めることは、新入社員の成長に留まらず、チームや企業全体の生産性にも寄与します。加えて、新入社員の早期離職が減る可能性もあるでしょう。
人事担当者や管理職が新入社員のコミュニケーションスキルを高めたい場合、テクニックだけでなく、「相手を慮る心構え」や「論理的思考力」も身につける取り組みが大切です。本記事で紹介した具体的な方法を参考に、新入社員のスキル向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

















