1on1でなにを話したらいいかわからない!?1on1のテーマ設定と進め方のコツ
1on1は、部下との意思疎通を図ることで相互理解を深め、そのうえで部下の成長を支援するためにおこなう面談です。
では実際に、1on1ではどのようなことを話せばよいのでしょうか。本記事では、1on1を実施する際に気をつけたいポイントを踏まえながら、話すことのテーマ例や効果的に面談を運営するコツを紹介していきます。
1on1で話すことはなにがいい?面談で話すテーマの決め方
「1on1」とは、定期的に上司と部下が1対1でおこなう面談のことです。業績や評価に関する面談とは異なり、リラックスした状況で上司が部下の話を聞くために実施します。
しかし、「なにを話せばいいのかわからない」と頭を抱えてしまう管理職は決して少なくありません。1on1で話すべきテーマに迷ったら、1on1を実施する目的に立ち返るといいでしょう。そうすることで、なにが必要なのかがはっきりし、話すことに迷う場面も減っていくはずです。
1on1の目的は「部下との関係構築」と「部下の成長」
1on1では仕事上での不安や悩みだけでなく、私生活や健康状態などさまざまなことを話します。また、1回あたりの面談時間を短くし高頻度でおこなうのがよいとされます。
そして、定期的なコミュニケーションを通じて部下との良好な関係を構築し、その関係のなかで仕事の進捗や悩み、キャリアについての話もしながら部下を指導します。効果的に1on1を実施できれば部下の成長やモチベーションアップが期待できるでしょう。
「部下の成長になにが必要か」がわかれば、おのずと1on1で話すことは決まる
1on1で話すことを決めるためにはまず、「なぜおこなうのか(=必要性)」と「どうなりたいのか(=目的)」を明確にしましょう。
必要性と目的をはっきりさせることで、1on1をおこなう意義をよりはっきりと認識できます。「どうなりたいか」がわかれば、おのずと話すべきテーマが決まるはずです。
たとえば、「部下に生き生きと働いてほしい」というのが1on1の目的であれば、仕事での困りごとや健康状態についての質問をします。もし「部下の主体性を伸ばしたい」のであれば、やりたい仕事や将来のキャリアプランを考えさせるようなテーマを設定するのもいいでしょう。
1on1を実施する際には毎回、「必要性」と「目的」を念頭に置いて面談をおこなうと、双方にとって有意義な時間を共有できるはずです。
1on1で話すことに困ったときにつかえるテーマ例
一般的に、1on1は15~30分ほどの時間で行います。限られた時間を有意義にするためにも、面談時に話したいテーマはある程度事前に決めておくといいでしょう。また、1on1は「関係構築パート→成長支援パート→まとめ」の流れで進めるとスムーズです。
関係構築パート:相互理解、健康チェック、モチベーション向上を目的として、相手の心を開かせるような話題を心がける。
成長支援パート:課題抽出、目標設定、能力開発、キャリア支援などを目的として、仕事やキャリア上の気付きを与えられるような話題を心がける。
それぞれのパートでつかえる具体的な話題の例を以下で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
部下との関係構築のためのテーマ例
・最近、よく眠れているか
・体調に変化はないか
・週末はなにをして過ごしているのか
・なにをしているときが一番楽しいのか
・先輩と良好な関係性を築けているか
・上司に要望がないか
部下の成長支援のためのテーマ例
・自分の強みや弱みはなにか
・現状の業務について不安や困っていることはあるか
・今後どのような業務に関わってみたいか
・仕事や私生活での目標はあるか
・将来的にチャレンジしたい仕事があるか
・希望するキャリアがあるか
1on1で意識すべき5つのポイント
続いて、1on1をより効果的に実施するためのコツや注意点を紹介します。
実施の目的を共有する
「1on1で話すべきことは目的から考える」とお伝えしましたが、その際には相手にも面談を実施する意味や目的を伝えましょう。1on1をおこなう意義・メリットをお互いの共通認識にすることでモチベーション維持に役立ち、面談を継続的に実施しやすくなります。さらに、実施の意図をオープンにすることで部下に安心感を与えられ、忌憚のない意見も出やすくなるはずです。
逆に目的があいまいなままだと1on1に対する部下のモチベーションが上がらず、率直な話もしづらくなってしまいます。効果を高めるためにも目線合わせをおこなうといいでしょう。
1on1用の面談シートを用意すると話すことに困らない
1on1実施時には、聞くことや話した内容をメモしておく面談シートを用意しましょう。面談の内容を事前に準備したり、過去の内容を振り返ったりする際にも役立ちます。
なお、面談シートを活用する場合には、社内で統一したフォーマットを使用するのがおすすめです。部署や人による実施内容のばらつきがなくなり、1on1の質を会社全体として平準化できます。
話しやすい雰囲気づくりを心がける
1on1の主役は、上司ではなく「部下」です。上司は聞き役に徹して、相手が「なにを求めているのか」「どのような課題や悩みを抱えているのか」を引き出すことに注力します。
部下のためを思ってアドバイスや注意をしたくなる気持ちをぐっとこらえ、傾聴の姿勢を心がけましょう。相手の話を聴く力はマネジメントには欠かせないスキルのため、身につけることで上司自身の成長にもつながるはずです。
また、関係構築のためには相互理解も欠かせません。そのために上司も自己開示しながら部下が話しやすい雰囲気づくりに努めます。
オープン質問とクローズド質問を織り交ぜる
相手の話を引き出すためには「クローズド質問」と「オープン質問」を意識するのも大切です。
クローズド質問 | オープン質問 | |
---|---|---|
特徴 | 「はい/いいえ」で答えられる質問のこと | 相手が自由に答えられる質問のこと |
メリット | ・相手が答えやすい ・回答に時間がかからない |
・多くの情報を得られる ・相手の考えをより具体的に知れる ・考える機会を与えられ、相手の成長につながりやすい |
デメリット | ・会話が広がりにくい ・聞き方によっては相手に威圧感を与えてしまう |
・回答への心理的負担が大きい ・相手との関係によっては本音を聞き出せない |
例 | ・最近はよく眠れていますか? ・今の仕事には慣れてきましたか? |
・休みの日はなにをして過ごしていますか? ・どんなキャリアを歩みたいですか? |
クローズド質問で会話のきっかけを掴み、オープン質問を中心に相手の回答を深堀りしつつ、最後にあらためてクローズド質問で締めくくるなど、それぞれの質問の特長を活かす工夫をするといいでしょう。
1回面談しただけで終わらせない
1on1を1回やっただけでは効果は見込めません。1回の時間は短くとも、継続的して実施することが大切です。そうすることで上司・部下の良好な関係が構築され、部下の成長も期待できるでしょう。
なお、1on1は週1回~月1回の頻度で、1回あたり15~30分で実施するのが一般的です。上司・部下の双方にとって負担にならない範囲で、できる限り頻度を高くすることが1on1のポイントといえるでしょう。
1on1で部下の成長・チーム力の向上を図ろう
1on1は、上司と部下の関係性を高めることを通じて、部下の成長を促すためにおこなうミーティングです。大切なのは「部下が主役」ということであり、上司は聞き役に徹します。
話すことに悩んだ場合には、1on1を通じてどうなりたいかをあらためて考えるといいでしょう。なりたい姿が明確になれば、どのようなことを知りたいのか、話すべきかが浮かび上がってくるはずです。今回ご紹介したテーマ例も参考にしながら、上司・部下が相互理解を深め、組織としての成長につなげていきましょう。