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ストレスチェック制度とは?実施方法や注意点のまとめ

2019年12月05日更新

 

2015年にスタートしたストレスチェック制度も企業に浸透してきました。厚生労働省が2019年に発表した調査によると、2018年度はストレスチェック義務化の対象である従業員数50人以上の企業と事業所の90.9%で制度が活用されています(※1)。
労働者のメンタルケアや職場環境の改善のための制度。ストレスチェックの意味やメリット、導入方法などを紹介します。

 

目次

ストレスチェック制度とは

 

・目的はメンタル不調の1次予防

職場のメンタル不調を予防するには、1次予防から3次予防まで3つの段階があると言われています。1次予防は社員に不調が起きるのを防ぐために事前に何らかの対策をとること。2次予防はメンタル不調の社員が重度の精神疾病を引き起こさないように、早期段階で対処すること。そして3次予防は実際にメンタルヘルスを害した社員の治療や職場復帰、再発予防の取り組みのことです。
ストレスチェック制度の目的は未然防止である1次予防になります。

・法律の一部改正受け2015年にスタート

近年、仕事や職業生活に強い不安や悩み、またストレスを感じている労働者は5割を超える状況です。国では、より積極的に労働者の心の健康の増進を図るため、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を1988年に公示。事業所における労働者を計画的に守る措置を促進しました。
しかし、厚生労働省の「心理的な負担の程度を把握するための検査等指針」によると、仕事による強いストレスが原因で精神病を発病し、労災認定される労働者は2006年以降、増加の傾向にあり(※2)、労働者のメンタル不調を未然防止することはますます重要な課題となります。

この背景を踏まえ「労働安全衛生法」という法律が改正。2015年12月から、労働者に対して心理的な負担の程度を把握するための検査や、その結果にもとづく面接指導の実施を事業者に義務付けるストレスチェック制度がスタートしました。

・50人以上の企業や事業所に実施義務化

ストレスチェック制度は50人以上の労働者を使用する企業、事業所に毎年1回以上の実施義務が課せられ、労働基準監督署へ結果を報告する義務もあります。ストレスチェックの対象者は「常時使用する労働者」とされており、週1回勤務などのパート、アルバイトも含まれます(※3)。

ストレスチェック制度のメリットは

 

・労働者が自身の心の状態を把握できる

ストレスチェックを受けた人は、自らのストレスの状態や原因を把握することができます。不調が見つかり、セルフケアが難しい場合は医師が面接指導。また、必要があれば医師の意見を会社に伝えるなど、ストレスの要因を軽減するよう届け出ることもできます。

・事業者は職場環境を早期に改善

事業者にとっては労働者のメンタルに関する問題を、深刻な状況になる前に把握できる可能性が高まります。職場環境の現状を知り、改善へ向けた施策を打てば、貴重な労働力を失うリスクも減り、生産性の向上にもつながるでしょう。

ストレスチェック制度を実施するには

・実施者資格を持つ医師などを選定

ストレスチェック制度を実施するには、まず社内に衛生委員会を設け、実施体制や周知方法などを協議。実施者として医師、保健師または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士を選定します。日頃から社内状況を把握している産業医がいれば、その産業医があたるのが望ましいでしょう。
決まったことは社内規定として明文化。実施規定については厚労省がフォーマットを作っているので参考にしましょう(※3)

・調査票を職場に配布

衛生委員会では労働者のストレスの程度を図る質問内容も決め、それを記した調査票をつくって労働者に配布します。質問内容に関しても厚生労働省が推奨する57項目の簡易調査票が、同省のホームページでダウンロードできるので、こちらも参考にするとよいかもしれません(※3)。

・高ストレス者には面接を施し環境改善

労働者が記入した調査票を回収後、医師などの実施者は受検した労働者のストレスの程度を評価します。実施者が労働者へ評価結果を通知する際には第三者の目に触れないよう十分に配慮。事業者を通してではなく、直接または実施専務従事者を通じて報告します。
高ストレスを感じているとされた労働者から事業者に申し出があれば、医師が面接指導。その後、事業者は医師の意見を聞き、ストレス軽減のために環境改善に取り組んでいくことになります。

ストレスチェック制度の注意点

・プライバシーは保護する

当然のことですがストレスチェックや面接指導での個人情報の取り扱いは、個人情報保護法を踏まえて適切におこなう必要があります。ストレスチェックの実施者には守秘義務があり、人事権を持っている立場ではストレスチェックの実施者や事務担当になることは認められていません。
たとえ事業者に対してであっても、ストレスチェックの結果を開示できるのは個人の同意が得られた場合に限られているので、プライバシーとして情報は厳重に保護する必要があります。

・不利益な取り扱いは禁止

ストレスチェックを受けなかったり、面接指導の結果などを理由に、事業者は労働者に解雇、退職推奨、合理性のない配置転換などの措置をとるのは禁じられています。ストレスチェック制度はあくまで、労働者の精神的健康を保持するための取り組み。事業者が労働者に対して不利益となるような取り扱いは許されません。

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ストレスチェックを実施しないと罰則はある?

・報告書提出を怠ると罰則

ストレスチェック制度は50人以上の労働者を使用する企業、事業所に毎年1回以上の実施義務があります。そして実施状況は労働基準監督署へ結果を報告しなければなりません。報告書の提出を怠ると労働安全衛生法違反となり50万円以下の罰金。虚偽の報告をしても同様の罰則があります。

・求められる安全配慮義務

ストレスチェックが未実施だと、安全配慮義務の違反にも該当する可能性があります。安全配慮義務とは労働契約法で定められ、安全で健康に働くことができるように配慮する会社の義務。これを疎かにしているような凡例が積み上げられ、労働者に損害が発生すると賠償の対象になります。

厚生労働省が公表している「過労死等の労災補償状況」では、精神障害の労災認定件数は2017年度に506件と過去最多となっています。2018年度は465件に減っているものの(※4)、企業の安全配慮義務が問われるケースが増えている現状には目を背けられません。

マニュアル公開や助成金などの支援も

・サポートダイヤルでも相談受付

ストレスチェック制度の実施準備には時間も要しますが、厚生労働省のホームページでは実施マニュアルも公開しています(※3)。
また、厚生労働省所管の独立行政法人、労働者健康安全機構ではストレスチェックの実施者、事業者、制度担当者対象のサポートダイヤルを開設。制度の実施方法や、体制などに関する相談を受け付けるなどの支援を行っています(※5)。

・5つの要件を満たすなら助成金申請を

ストレスチェック制度が義務化されていない従業員50人未満の会社がストレスチェックを実施する場合、5つの要件を満たせば、費用の助成を受けられる場合があります。

要件は
①労働保険の適用事業場
②常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満
③ストレスチェックの実施者が決まっている
④事業者が医師と契約し、ストレスチェックにかかる医師による活動の全部または一部を行わせる
⑤ストレスチェックの実施及び面接指導者をおこなう者は、自社の使用者、労働者以外
となっています(※6)。

さらに、企業の規模を選ばない「心の健康づくり計画助成金」というのもあります。自社が対象になるかはチェックしてみるのもよいかもしれません。(※7)。

ストレスチェック活用でよりよい職場に

労働者のメンタルケアや職場環境の改善に有効なストレスチェック制度。企業の規模に関わらず、ストレスチェック制度をきちんと活用することで、職場環境の改善の一助としましょう。

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※1「厚生労働省 平成30年労働安全衛生調査」

※2「厚生労働省 ストレスチェック制度関係法令等」

※3「厚生労働省 ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」

※4「厚生労働省 平成30年度 過労死等の労災補償状況」

※5「労働者健康安全機構 ストレスチェック制度サポートダイヤル」

※6「労働者健康安全機構 ストレスチェック実施促進のための助成金の概要」

※7「労働者健康安全機構 心の健康づくり助成金」

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