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2021年度新入社員意識調査から読み解く傾向と関わり方のポイント

2021年08月18日更新

2020年春から新型コロナウイルス感染症が拡大し始め、急遽リモートワークを導入した企業が増えました。その時期に本格的な就職活動をおこなっていたのが、2021年度の新入社員です。

そのため、2021年度の新入社員は企業の新卒採用に関する対応が急激に変化していく様子を間近で見てきています。前例のない状況の中、就職活動をおこなうことを余儀なくされ、自分自身の選択に不安を抱えている人もいるでしょう。

マイナビ研修サービスでは、そのような2021年度の新入社員4,035名を対象とした意識調査を実施しました。17の設問を通じて新入社員が新社会人として感じている期待や不安、働くことに対する価値観を問う調査です。2017年~2019年にかけて実施した同様の調査結果と比較しながら、2021年度の新入社員の傾向をみていきましょう。

<調査概要>
・調査期間/2021/3/23~2021/4/10
・調査方法/記入選択式アンケート
・調査対象/弊社が提供する新入社員研修に参加した新入社員
・有効回答数/4,035名
※2020年は調査を実施していません
※構成比の数値は、四捨五入しているため、100%にならないことがあります。
※未回答を含まないグラフもあります。
>>2021年度新入社員意識調査のダウンロードはこちら

 

目次 【表示】

2021年度新入社員意識調査から見える特徴

大枠では2017年~2019年と同じ傾向であるものの、2021年度新入社員意識調査の結果からは、2つの特徴が見られます。

人間関係を重視する回答が上昇

一つ目の特徴は、人間関係を重視する回答が上昇している点です。問1「あなたが今、会社で発揮できる力はどのような力だと思いますか」への回答として、2017年~2019年と比べて上昇しているのが、「他人に働きかけ巻き込む力」です。2017年~2019年には10ポイント前後で推移していたものが、2021年には13.9ポイントに上昇しています。

また問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」では、「新しく人間関係を構築できる」という回答が、2017年~2019年と比べてもっとも多くなっています。問8「上司や先輩から特に指導してほしいことはどんなことですか」に対する回答も、「人間関係の構築方法」を指導してほしいと考える割合が2017年~2019年と比べてもっとも多くなりました。

収入へのこだわりに関する回答が減少

もう一つの特徴は、収入へのこだわりの低下がみられることです。とくに問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」では、「収入が得られること」への期待度が大きく減少しています。

2017年~2019年の調査結果では、収入が得られることへの期待は上位3項目に入っていましたが、2021年では「社会や会社に貢献できること」への期待がはじめて上回り、「収入が得られること」への期待は上位から4番目となりました。

また、問5「社会人生活の中でどのようなことに不安を感じていますか」に対しても、「十分な収入が得られるかどうか」に不安を感じる割合が、2017年~2019年に比べて減少しています。加えて、問6「社会人として仕事をしていく上で重要だと思うことは何ですか」に対して、「収入」と回答した割合は2021年は20.2ポイントとなっており、2019年の30.3ポイント、2018年の27.5ポイントと比較して10ポイント近く減少しています。

2021年度新入社員は変化に対応し、居心地のよい環境を求める

上記の調査結果から、いくつかの設問を組み合わせてみると、2021年度新入社員の傾向がみえてきました。

傾向① 周囲の環境変化への対応力が高い

問5「社会人生活の中でどのようなことに不安を感じていますか」に対する回答をみると、「環境の変化に対応できるか」という点に不安を抱える新入社員が減少しています。

2021年度の新入社員は、新型コロナウイルス感染症の影響で大学の授業がオンラインに切り替わったことや、就職活動の選考を通じてオンラインでの説明会や面接に臨んだことなど、変化の多い状況を経験したため、少しの変化には驚かず環境変化への対応力が高い傾向にあると考えられます。

傾向② 他者や社会への貢献を重視

問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」を詳しく見てみると、例年との差がみえてきました。2017年~2019年には「自分が成長できる」「収入が得られる」「新しいことに挑戦できる」の3つが上位に固定されていましたが、2021年の回答では「自分が成長できる」「新しいことに挑戦できる」「社会や会社に貢献できる」の順で割合が多くなっています。

「自分のやりたい仕事ができる」「収入が得られる」といった、利己的な期待が大きく減少した一方で、「社会や会社に貢献できる」といった利他的な期待が増加傾向にあります。

また、問6「社会人として仕事をしていく上で重要だと思うことは何ですか」に対する回答では、「成功・評価・地位」「収入」「楽しさ」が減少し、「人への影響」「社会貢献」が上昇しています。自分の存在が他者に与える影響を意識し、社会の一員として自分になにができるのかを考える新入社員が増えている様子が伺えます。

傾向③ 例年以上に人間関係を重視

問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」では「新しく人間関係を構築できる」ことへの期待が例年より上昇しています。加えて、問5「社会人生活の中でどのようなことに不安を感じていますか」でも「上司・先輩・同僚との人間関係」が「仕事をうまくこなせるか」に次いで回答が多く、2017年~2019年と比べても増えています。

また、問11「アフター5(業務終了後)の過ごし方」をみても、アフター5を会社の人と過ごしたいと考える人の割合が増加しており、ここでも会社の人との良好な人間関係を構築したい気持ちが垣間見えます。例年以上に、社内での人間関係構築に関心を寄せている新入社員が多いようです。

背景としては、大学1年生から3年生までは対面の授業が当たり前でしたが、4年生になってオンライン授業に切り替わったことで、リアルな人間関係の重要性をあらためて実感したことなどが考えられます。

2021年度の新入社員との関わり方でおすすめしたいポイント

新入社員を受け入れる立場にある人事担当者や現場社員の皆さんは、新入社員の活躍を促すためにどのように関わればよいのでしょうか。上記で挙げた項目を踏まえて、関わり方の一例をご紹介します。

仕事の意義や目的を丁寧に伝える

2021年度の新入社員は社会貢献への意欲が上昇していることから、自分の仕事が社会にとってどのような影響を与えるのかに、強い関心があると推測できます。新入社員と一緒に仕事をするメンバーは、今の仕事を通じてどのような力が身につくのか、将来的にどのような社会貢献に繋がるのか、といった仕事の意義や目的を新入社員に示してあげることが大切です。

小さなことでもよいので、まずは一つひとつの仕事が会社の役に立っていると感じられるような関わり方をすることで、新入社員のモチベーションを向上させることができるでしょう。

存在を承認する言葉がけを忘れずに

新入社員は就いた仕事が自分に向いているのかどうか自信がなかったり、上司や先輩や同僚と良好な人間関係を築くことを意識したりするあまり、まわりに迷惑をかけていないかを心配しすぎてしまうことがあります。今年に限らず、例年と同様に気をつけるポイントではありますが、そのような新入社員に活躍してもらうためには、「あなたと一緒に働けて嬉しい」というような承認を与えることが大切です。

たとえば、出したアウトプットや結果に感謝を伝えるなど、日々のポジティブな言葉がけが効果を発揮します。また、多様性や個々の価値観を重視している世代でもあるため、新入社員一人ひとりの価値観を尊重し、認めることも大切です。

積極的なコミュニケーションで信頼関係を構築

問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」で新しく人間関係を構築できることへの期待が上昇していたり、傾向②で言及した通り環境の変化への不安が減少していたりと、学生時代と異なる人間関係や生活環境になることに期待を寄せている新入社員が増えています。その期待に応えるべく、積極的なコミュニケーションで信頼関係を構築していくのもおすすめです。

留意したいのは、問7の「先輩にはどのように接してほしいですか」の回答で、「優しく接してほしい」と望む人の割合が年々増加している点です。ミスをした際にはミスしたこと自体を責めるのではなく、どうすればミスをカバーできるのか、今後くり返さないためになにができるかを一緒に考え、寄りそうことで関係を深められるでしょう。

またリモートワーク環境では、メールやチャットなどの文字によるやり取りがメインです。直接声をかけられる環境と比べ感情が伝わりにくいため、記号や絵文字などを積極的に活用し、自分自身の感情をより伝える工夫をすることで、新入社員も安心感を得られるでしょう。

まとめ

リモートワークの拡大やデジタルネイティブ世代の入社により、新入社員を受け入れる立場としてもこれまでと同じような関わり方ではうまくいかず、少しずつ関わり方や価値観を変えていく過渡期なのではないでしょうか。入社してきた新入社員が自社で満足のいくキャリアを歩めるよう、現場社員と人事担当者が一丸となって関わり方を工夫してみましょう。

>>2021年度新入社員意識調査のダウンロードはこちら

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