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「やってみなはれ」と「やらせてみなはれ」~社員が学び続ける仕組みづくりでリーダーシップを育てるサントリーの社員育成~

2024年07月03日更新


サントリーホールディングス株式会社 ピープル&カルチャー本部 課長 大杉慎也氏

みなさんは、サントリー創業者・鳥井信治郎の「やってみなはれ」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。社員の挑戦を後押しすることで社員が成長し、ひいては企業が成長するというサントリーの人材育成哲学が凝縮された一言です。

しかし、取材の中では意外な言葉も聞かれました。

「『やってみなはれ』の裏には『やらせてみなはれ』があると考えています」

そう語るのは、サントリー社員のキャリア開発を担当する大杉氏。その言葉には、企業が組織としてリーダーシップを育てるために必要なヒントが詰まっていました。

目次 【表示】

いつでも学び、チャレンジできる環境がある

——まず率直に、御社にとってのリーダーシップとはどのようなものと捉えていらっしゃいますか?

大杉氏(以下、大杉):まさに「リーダー(牽引役)」という言葉のとおり、プロジェクトにしろ、日々の業務にしろ、メンバーを牽引できる人のこと、その人が持っている「考動力」のことをいうのだと思います。

サントリーではいわゆる管理者を「マネージャー」と言いますが、良いマネージャーは良いリーダーシップを発揮しています。

しかし同時に、マネージャーでなければリーダーシップを発揮できないというわけではありません。若手であっても、たとえばプロジェクトマネージャーとして上席者を巻き込みながら牽引していくタイプもいますし、支援者として上席者をサポートするというタイプもいます。

いずれにせよ、自分なりの方法で組織に対して貢献する、業務を全うするために必要とされるのが「リーダーシップ」という考えです。

——なるほど。ありがとうございます。そのリーダーシップを「育てる」という観点では、「小さなチャレンジの積み重ね」が重要であるという論もあります。御社でのリーダーシップ育成はどのように考えていらっしゃいますか?

大杉:おっしゃる通りチャレンジがなければリーダーシップは育ちません。創業者・鳥井信治郎から引き継がれている「やってみなはれ」という言葉はまさに「失敗を恐れず、本人が挑戦したいと思っていることに諦めずに挑戦する」そして、そういったチャレンジを支えるというサントリーの良き風土を作っている言葉だと思います。

そのうえで、弊社のリーダーシップ育成で重視していることが2つあります。1つが「計画的に経営人材を育成していく」ということ、そしてもう1つが「グローバルで活躍する人材を育成する」ことです。どちらも、愛され続ける企業であるために必要なことだと考えています。
 
それらの目的を果たすために2015年に開校した「サントリー大学」は、弊社が持つリーダーシップ育成プログラムの代表例といえるでしょう。世界約4万人、270社以上のグループ社員に向けて学習コンテンツを提供する企業内大学です。

サントリーの「学び」を支えるサントリー大学とは

——「サントリー大学」はメディアなどでも大きく取り上げられている有名な施策ですが、実際どのような仕組みの取り組みなのでしょうか?

大杉:大学といっても校舎があるわけではないので、サントリーが持つ人材育成プログラムの総称と言った方がイメージを掴みやすいかもしれません。

サントリー大学は「企業理念浸透」のためのプログラムや階層別研修や選抜型研修を含んだ「ビジネス素養強化」のためのプログラム、さらにはグローバル学部、デジタル学部、100年キャリア学部、ワイン学部に分類されたブログラムも含め8万4000以上の学習コンテンツに、全世界の従業員がオンラインの「My SU(My Suntory University)」を通じてアクセスできるようになっています。

——企業が社員育成のためにeラーニングを取り入れるという流れは近年高まってきましたが、オリジナルで「大学」と銘打って始められた理由は?

大杉:根本にある考え方は、創業者から引き継がれ続けている「人本主義」つまり「企業の成長の源泉は人である」というものです。

先ほどもお伝えしたように、サントリーはグローバル企業として約4万人もの従業員を抱え、そして約270社もの関連企業があります。そのうえで人本主義を形にするためには、全社員が共通して企業理念を理解し、実行できるようにしなくてはいけません。

そのための学びの場を作るため、社名を冠した「大学」として立ち上げたのです。

——なるほど。サントリー大学では企業理念の浸透だけでなく「ビジネス素養強化」もおこなっていらっしゃると伺いました。年に数度の座学研修として同様の教育をおこなっている企業が多いと思いますが、ここまで大規模なお取り組みになさった理由はなんでしょうか?

>>『「やってみなはれ」と「やらせてみなはれ」~社員が学び続ける仕組みづくりでリーダーシップを育てるサントリーの社員育成~』の続きはこちら

監修者プロフィール大杉 慎也(おおすぎ しんや)
サントリーホールディングス株式会社 ピープル&カルチャー本部 課長
1997年 サントリー入社 これまでに国内酒類営業や輸入ワインのブランドマネージャーなどを担当。 2018年からヒューマンリソース本部(現ピープル&カルチャー本部)にてキャリア開発担当課長として、サントリーのグローバル化を牽引する次世代リーダー育成プログラムの責任者としてチームをリードする。 (2024年2月時点)
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