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タレントマネジメントとは?その目的と効果、事例を紹介

2020年10月02日更新


労働人口減少や少子高齢化、労働者の価値観の多様化など、さまざまな背景から注目を集めているタレントマネジメント。経営者や人事担当者の方なら一度は聞いたことがある言葉かもしれません。今回は、タレントマネジメントの意味や目的、背景とその効果について解説します。

目次

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、自社の抱える従業員や従業員の持つ能力(タレント)に着目し、採用・配置・評価・教育などの人事施策を統合的に実施することで、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に活かそうとする人事管理手法のひとつです。

タレントマネジメントの目的

タレントマネジメントの大きな目的は、企業の継続的な成長への貢献です。タレントに着目し統合的な人事施策を実行、従業員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できる環境を整えることで、組織全体の継続的なパフォーマンス向上につながります。

注意したいのが「従業員一人ひとりに着目し、人事施策をおこなう」「適材適所を実現する」といったことは、タレントマネジメントの要旨ではあるものの目的ではないということ。気づいたらタレントマネジメントをおこなうこと自体が目的になっていた…とならないよう注意が必要です。

タレントに着目する

タレントマネジメントのカギとなる「タレント」とは、ある特定の能力・才能・資質を有する人材のことを指します。ただ、ここで着目するタレントとは、いわゆる「ハイパフォーマー」「リーダー候補」といった優秀な人材のみに絞られることはありません。

たとえば観光地の飲食店では、「外国人観光客とのコミュニケーションが取れる」ことがタレントの条件になる場合があります。組織の戦略によって重要な職務や重要な人材の要件は異なるため、いわゆる「優秀」な人材に限らずさまざまな人材がタレントとなる可能性があるのです。

自社のすべての従業員に目を光らせ続けることは簡単ではありませんが、自社のタレントを把握し、必要な場面で特定の人材から成果を引き出せる状態を維持することは重要なポイントです。


タレントマネジメントが注目された背景

タレントマネジメントは、1997年にマッキンゼーが提唱した『ウォー・フォー・タレント』という概念を起源として広まりました。マッキンゼーは調査から「企業間の業績差は、優秀なマネジメント人材の充実を最優先事項に位置づけ、優秀な人材を強化するための具体的な施策を実行しているかが影響している」という見解を示しました。
その後、さまざまな議論が重ねられ、現在のタレントマネジメント論につながっていったのです。

企業を取り巻く状況と課題

タレントマネジメントが注目される背景をもう少し掘り下げていきましょう。昨今はVUCAの時代と言われ、テクノロジーの急速な発達から事業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。それに伴い、労働者に求められる能力はより高度に、そして専門分化が進んでいます。

日本においても、労働人口の減少や労働者の価値観の変化から、企業と従業員の関係性が変わってきました。労働力確保が困難になったいま、外国人・高齢者など多様な人材が活躍できる環境の整備も企業にとって急務の課題です。また正社員・契約社員・時短社員・フリーランスなど、働き方も多様化し、企業はあらゆる雇用形態・働き方のニーズに応えることが求められています。

限られた人材に高いパフォーマンスを発揮してもらうことが欠かせなくなったいま、従業員一人ひとりの持つ力に目を向けつつ、企業の経営戦略に沿って人事施策を統合的に実行するタレントマネジメントが注目を集めているのです。

タレントマネジメント導入の効果


では、従業員一人ひとりに着目するタレントマネジメントを取り入れることでどのような変化が生まれ、どのような効果が期待できるのでしょうか。ここからは、タレントマネジメント導入の効果をご紹介します。

個別的管理への転換により多様な人材が活躍

まず挙げられるのが、集団的管理から個別的管理へのシフトによる効果です。
これまでの日本の人事管理は、「転勤を厭わない」「フルタイム勤務可能」「新卒入社」を前提とした画一的なものでした(集団的管理)。

従業員一人ひとりに目を向けるタレントマネジメントの導入は、こうした集団的管理から、外国人・高齢者・正社員・契約社員・時短勤務・フリーランス といったさまざまな人材が自身にあった働き方を選択できるような個別的管理への転換を促します。

個々人に必要な能力が開発される、個々人の能力に沿った配置がおこなわれる、といった個別的管理によって、より多くの働く人々が活躍の機会を得られるようになることが期待できます。

従業員の経験価値をデザインし、主体的なキャリア開発を促進する

従業員の経験価値(エンプロイー・エクスペリエンス)やキャリア開発といった観点で、個々人の希望がより多く反映される機会がつくられることも効果のひとつです。

従業員一人ひとりの現在・過去・未来の情報が、蓄積され把握されるようになると、配置や育成などさまざまな施策がデータにもとづいて検討されるようになります。これを従業員の視点から考えると、組織が決定した人事施策に対して不公平感が軽減されるとともに、こういう経験を積みたい・こういった能力を開発したいという自身の期待感に応えてもらえる、といった実感につながることが期待できるでしょう。

従業員と組織の状態に合わせた育成を実現

タレントマネジメントを取り入れることは、従業員の育成という点についても効果が期待できます。
長期安定雇用・遅い昇進を前提としたこれまでの人事管理手法では、長い時間をかけて従業員の中から将来の経営者や経営者候補になりうるリーダー人材を見極めていました。

これに対しタレントマネジメントでは、リーダー人材に限らず企業にとって重要な職務とそこに必要な人材は異なるという観点から、重要な職務に必要な人材を計画的に、長期の育成に加え短中期の視点でも育成する手法を用います。

これによって、より多様な人材に育成の機会が与えられるとともに、新規事業の発足や前任者の退職などといった事由にもより柔軟に対応できるようになるでしょう。

従業員のエンゲージメントを高める

キャリア志向やスキル、キャリア遍歴といった従業員の情報が可視化されるタレントマネジメントでは、個別的管理が進み、一人ひとりの状態に合わせた育成・キャリア開発が促進されます。
これによって、従業員が意味ややりがいを感じる仕事への配置を実現しやすくなるでしょう。

従業員に「この仕事は自分に向いている」「能力を発揮することで職場に貢献できている」「この仕事によって自身が成長できている」といった実感を持ってもらえるようになることは、従業員のエンゲージメントを高めることにもつながるでしょう。こういった実感を持ってもらえるような仕事への挑戦を促すのもタレントマネジメントのひとつの役割です。

■タレントマネジメントの効果を高めるためのポイントはこちらの記事で解説しています
「タレントマネジメント運用のポイントとシステム活用」/HR Trend Lab

タレントマネジメントの成功事例

ここからはタレントマネジメントの成功事例をご紹介します。

サイバーエージェントの事例

サイバーエージェントでは、2013年頃からタレントマネジメントに着目し、さまざまな人事施策を講じてきました。

はじまりは、経営陣から「社員1000人を超えてから、一人ひとりの顔が見えにくくなった」という声があがったこと。「このままでは従業員の才能を開花させること、適材適所の配置を実現することが難しい」と感じた同社では、独自のサーベイシステム『GEPPO(ゲッポウ)』の開発と、社員の能力と事業を伸ばすための適材適所を目的とした『キャリアエージェント』の発足を決定。

組織と従業員の状態を把握するGEPPOでは、「月1回3つの質問に答えるだけ」という回答する従業員にとってのハードルを下げることで、従業員の平均回答率97%を実現。回答を得られなかった従業員には個別のヒアリングなどの対応をおこなうことで、実質100%の回答率を実現しています。

回答率を高めた要因は質問項目の工夫だけではありません。代表から従業員にGEPPOの意義や重要性を伝える、回答者へのリアクションをすることも大切にしてきたそうです。同社では、こうして収集したデータをもとに人事施策をおこなっています。

施策実行の根底には、「配置が人を育てる」という考えがあります。たとえば部長職など影響の大きいポジションの異動を決定した際、現場から「抜けた穴をどうするか」という声はもちろん出てきますが、まずは重要なポジションに人材を配置することを最優先。空いてしまう穴については人事異動や中途採用で補充することを考えます。

また実際に異動などの配置をおこなう際には、データを見て一方的に配置するのではなく、データを参照した上で、役割と期待を本人に伝え、最終的には本人の意志も含めて異動を決めています。従業員や組織の状態に合わせた人事施策の結果、組織と従業員双方にとっての適材適所が実現、才能を開花させる従業員も多いそうです。

■タレントマネジメントを推進中のサイバーエージェントへインタビューしました「『才能開花』と『適材適所』を実現するサイバーエージェントのタレントマネジメント」/HR Trend Lab

時代の変化に合わせ、高いパフォーマンスを

労働人口の減少や労働者の価値観の変化、従業員ニーズの多様化、テクノロジーの進化による市場変化の加速――。

企業は、時代の変化に合わせた人事管理手法への転換が求められています。限られたリソースで組織として高いパフォーマンスを発揮するためには、自社の従業員一人ひとりの能力を最大化させるタレントマネジメントが必要不可欠になってくるでしょう。

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