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ジョブ型雇用が注目される理由は?導入するメリットや注意点を解説

2021年04月07日更新

ジョブ型雇用(職務型)とは、採用する人材の業務内容や求める能力を募集の時点で定め、その役割を担える人材を雇用する制度です。欧米諸国で主流となっている雇用制度ですが、メンバーシップ型雇用(職能型)が主流である日本においても、一部の大手企業をはじめ、ジョブ型雇用が徐々に広まりつつあります。

本記事では、ジョブ型雇用が注目されている理由や、企業がジョブ型雇用を導入するメリット、注意点について解説します。

目次 【表示】

ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、特定の仕事や役割に対して、それらの業務を遂行できる人材を雇用する制度のことです。ジョブ型雇用における採用時には多くの場合、職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)と呼ばれる書類に「業務内容」や「必要となるスキル」、「目標」、「勤務地の範囲」などを明記したうえで、その役割を担える人材を募集します。

日本企業では今まで馴染みのなかった採用方法ですが、欧米諸国では中途採用や新卒採用問わずに、ジョブ型雇用が主流となっています。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

日本企業の従来の雇用制度は「メンバーシップ型雇用」と呼ばれています。メンバーシップ型雇用は、採用時、あるいは入社した段階では採用人材の配属が決まっていないことも多く、研修を通じて個々人の適性をはかったうえで、配属を決定する流れになります。

メンバーシップ型雇用は、入社してから数年単位で転勤や部署異動、ジョブローテーションを繰りかえすことで社内でのキャリア形成を促し、企業の将来を支える人材を長期的に育成していく方法として、新卒採用をメインに適応されています。

ジョブ型雇用が注目される理由

経団連が2021年1月に発表した「2020年 人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、多くの企業でジョブ型雇用の実施、導入が検討されていることがわかります。なぜ今、ジョブ型雇用が注目されているのでしょうか?

日本の国際競争力の低下

「世界各国の企業が競争力を発揮できる土壌の整備度」を表す一つの指標として、スイスにあるビジネススクールが毎年調査し発表する「世界競争力ランキング」があります。同ランキングでは、日本は1989年から4年連続で1位を記録していましたが、最新版の2020年ランキングでは34位となり、ここ数十年で日本の国際競争力は大きく低下していることがわかります。

また昨今では、IT系のさまざまなグローバル企業が日本へ進出しています。グローバル企業の進出によって日本市場の競争が激化し、日本企業のシェアが減少していくリスクも考えられるでしょう。

今後、日本企業がさらなる業績向上を目指すには、日本国内だけではなく世界的な市場へと視野を広げる必要があります。そのためには、世界の企業とも競争できるようなビジネスモデルを作り上げたうえで、IT分野をはじめとした専門性の高い優秀な人材の確保が不可欠です。

労働者の働き方が多様化

日本政府の推進する「働き方改革」をはじめ、労働者の仕事に対する価値観や労働環境は変化しています。

日本企業が急速な発展を遂げた高度経済成長期においては、終身雇用や年功序列などの雇用システムが合理的であったため、それらを多くの企業が取り入れまし。そして現在、それはメンバーシップ型雇用と呼ばれるようになりました。

しかし昨今では労働人口の減少による労働者の売り手市場といった現状などから、組織と個人の関係性が、「組織が個人を従えるという関係(年功序列、終身雇用が成り立つ)」から、「個人と組織が対等な関係(個人が自律的にキャリア設計する)」へと変わりつつあります。バブル崩壊やリーマンショックなどの経済状況の影響で日本経済が低迷期に入ったことも、労働環境の変化の一因と考えられるでしょう。

また、IT関連技術の進歩によるリモートワークをはじめとした働き方の選択肢が増えたことや、仕事と生活の調和を図る「ワークライフバランス」という考え方が広まりつつあることで、労働者が企業に求める労働環境も変化しています。そのような中では、長期的な人材育成を前提としたメンバーシップ型雇用のみでは、企業が人材を確保することや雇用を維持することが困難になっているのが現状です。

人材を確保するためには、子育てや介護との両立や、定年後の再雇用を望む人など、多様な人材が活躍できる環境を構築することも求められています。ジョブ型雇用であれば、このような「働ける時間や場所などに制約はあるが、スキルを活かして働きたい」と考えている労働者を活用しやすくなります。

企業がジョブ型雇用を導入するメリット

企業がジョブ型雇用を導入することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか?

専門性の高い人材を採用できる

ジョブ型雇用では、企業が求めるスキルや能力を持つ人材を明確化し、それらに見合った報酬を設定することで、専門性の高い人材を採用することができます。専門性の高い人材を採用することで、その分野の知識を活かした即戦力としての活躍を期待できます。

また、募集の段階で求められるスキルが明確化されていると、企業と求職者の方との間で業務内容や雇用形態における認識のミスマッチを未然に防ぎやすくなります。

実際に経団連の調査では、ジョブ型雇用の導入事由として「専門性の高い知識を持つ社員の必要性が高まった」ことが挙げられており、多くの企業において専門性の高い人材が求められている状況といえるでしょう。

生産性の向上につながる

ジョブ型雇用では、必要なスキルを備えた人材を、そのスキルが求められる職場へ配置することが可能となり、生産性の向上が期待できます。またジョブ型雇用は、メンバーシップ型雇用に多くみられる「勤続年数に応じた賃金体系」ではなく、業務内容やスキルによって賃金が決まります。

企業経営上で必須な人材のみを雇い、それぞれの仕事に見合った賃金設定が可能になることで、人件費も必要な支出のみに抑えられます。それによって、利益を向上させることにもつながるでしょう。

企業がジョブ型雇用を導入する際の注意点

企業がジョブ型雇用を導入する際には、どのような注意点があるのでしょうか?

ジョブローテーション(異動・転勤)が難しい

ジョブ型雇用では、配属先や業務内容が決まっているため、急な欠員への対応やキャリア形成のための転勤、異動をさせることが難しくなります。そのためメンバーシップ型雇用と比べて、将来の経営を担う人材の長期的な育成や抜擢が難しいといえます。

ジョブ型雇用で人事異動や転勤を提示する場合には、雇用契約の内容によっては再契約を結ぶことがあり、従業員が契約を結ぶことを拒めば、人事異動ができなくなります。

企業への帰属意識が薄れる

ジョブ型雇用では、求職者の方はより良い条件を求めてキャリアチェンジすることも考えられるため、企業や組織への帰属意識が薄れ、人材が定着しにくくなる可能性があります。

とくに、業務内容がチームで長期的に進めるプロジェクトなどの場合は、人材の流動が多いジョブ型雇用自体がマッチしない可能性も考えられます。ジョブ型雇用を導入する際には、自社の業務内容や仕事の進め方とマッチするか慎重に検討した方がいいでしょう。

採用の難易度が上がる可能性がある

ジョブ型雇用では、業務内容や求める能力・スキルのレベルによっては採用のハードルが高くなる可能性も考えられます。急遽欠員が出た場合でも、社内の人材ですぐに補填ができるとも限らず、また企業が求めるタイミングで必要な人材が見つかるとも限りません。ジョブ型雇用での採用活動をおこなう際には、社内の人事状況をしっかりと把握しておくことが、無駄のない採用をおこなうことへとつながります。

まとめ

特定の仕事や能力に合わせて人材を採用するジョブ型雇用は、専門性の高い人材の採用や企業の競争力の向上などの効果が期待できます。

2020年1月に発表された「2020年版 経営労働政策特別委員会報告」において、経団連は「まずはメンバーシップ型社員を中心に据えながら、ジョブ型社員が一層活躍できるような複線型の制度を構築・拡充していくことが、今後の方向性となろう」と提言していることから、ジョブ型雇用について考えていくことが企業には必要といえるでしょう。

多様化する労働者の働き方に合わせて、自社の雇用制度の一つとしてジョブ型雇用を検討してみてはいかがでしょうか。

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