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年末調整とは? 流れと計算方法、確定申告をする社員の条件も解説

2021年11月10日更新

企業にとっての年末恒例の業務ともいえる年末調整ですが、なにを目的におこなうのか詳しく理解できていない方も少なくありません。また社員のなかには、年末調整以外にも確定申告が必要なケースもあり、年末調整をおこなう担当者は正しくフォローする必要があります。

そこで今回は、年末調整の基礎知識と手続きの流れ、所得税の計算方法を解説するとともに、確定申告の対象となる社員についても紹介します。

※こちらの記事は2021年11月の情報をもとに作成しています。詳しい情報は国税庁のWebサイトにてご確認ください。

目次 【表示】

年末調整とは

年末調整とは、1月1日から12月31日までの1年間で、毎月の給与から源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額と、1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税額を一致させるための手続きです。この手続きは企業が社員に代わって申告をおこないます。

源泉徴収によって余分に税金を納めていた場合には年末調整で還付され、反対に不足していた場合には年末調整のタイミングで徴収となります。

年末調整が必要な理由

企業から支給される給与は、あらかじめ源泉徴収として所得税分が天引きされています。そのため、「なぜ源泉徴収をしているのに、年末調整をおこなわなければならないのか」と疑問を感じる方もいるかもしれません。

そもそも源泉徴収とは、前年の給与をもとに算出されているため、今年分の給与から正確に算出されたものではありません。所得税はその年の1年分の給与所得をもとに計算しなければならないため、正確な所得税額が確定するのは12月分の給与が支給されるタイミングなのです。そのため、源泉徴収ではその年の正確な所得税額を徴収することはできず、年末調整によって還付または不足分を徴収する必要があります。

また所得税の算出にあたっては、配偶者控除や生命保険料控除、住宅借入金等特別控除など、さまざまな控除額を算出したうえで確定します。1年の間に結婚や出産、保険の加入などをおこなった社員がいる場合には、年末調整によって控除額を算出し所得税額を確定させる必要があります。

年末調整の流れ

年末調整は企業が社員に代わって申告手続きをおこなうと紹介しましたが、具体的にはどのような流れで進めるのでしょうか。今回は3つのステップに分けて年末調整の流れを紹介します。

1.社員による申請書類の記入〜提出

はじめに、年末調整に必要な書類を社員へ配布し、必要事項を記入のうえ提出してもらいます。社員によって必要な書類は異なりますが、年末調整をおこなうすべての社員が必ず提出しなければならないのが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。

また以下に該当する社員は、国税庁指定の申告書や証明書の提出が必要です。
・生命保険料や地震保険料などの控除を受ける社員
・配偶者控除を受ける社員
・住宅ローンを組んでマイホームを新築、増築、取得し住宅借入金等特別控除を受ける社員
※住宅借入金等特別控除を受ける最初の年は確定申告が必要で、2年目からは年末調整で申告可能

他にも、転職してきた社員であれば、「前職での源泉徴収票」が必要となるので注意が必要です。
上記の必要書類は11月上旬を目処に社員へ配布し、11月下旬頃に人事へ提出してもらうようにしましょう。

2.年税額の計算〜徴収・還付

毎月の給与や賞与の額、源泉徴収税額などを社員ごとにまとめた源泉徴収簿をもとに、その年の所得税額を以下の2つのステップで計算します。

1.課税給与所得額の算出

給与および賞与などの給与所得から、国税庁のWebサイトに掲載されている所定の計算方法に則って給与所得控除額を算出します。
No.1410 給与所得控除|国税庁

さらに、所得控除の合計額を算出します。所得控除にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の通りです。
・基礎控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・配偶者控除
・扶養控除

給与所得から給与所得控除額を差し引き、さらに所得控除の合計額を差し引いたものが課税給与所得額となります。

課税給与所得金額=給与所得−給与所得控除額−所得控除合計額

なお、住宅ローンなどで住宅を購入または増改築し一定の要件を満たした場合、住宅借入金等特別控除の対象となりますが、これは税額控除(所得税額から差し引かれる)となります。

2.所得税額の算出

課税給与所得金額をもとに、国税庁が公開している速算表と以下の式を用いて所得税額を算出します。
No.2260所得税の税率|所得税|国税庁

所得税額=課税給与所得金額×税率−控除額

所得税額の計算が完了したら、社員ごとに所得税額と源泉徴収税額の差分を徴収または還付します。また、このタイミングで源泉徴収票も作成し、社員へ配布します。

3.源泉徴収税の納付・法定調書の作成〜提出

源泉徴収簿をもとに、翌年の1月10日までに「所得税徴収高計算書(納付書)」を作成し、税務署へ税金を納付します。所得税および復興特別所得税を半年分まとめて納付できる納期の特例事業者の場合は、1月20日が納付期限です。

また、法定調書とは税務署へ税金の納付が完了した後に税務署および市区町村へ提出する書類のことで、以下の4つがあります。

書類名称 提出期限 提出先
支払調書 翌年の1月31日 税務署
※支払先への提出は義務ではないが通例
法定調書合計表 翌年の1月31日 税務署
源泉徴収票 翌年の1月31日 税務署
給与支払報告書 翌年の1月31日 社員の居住する市区町村

 
上記のうち、源泉徴収票は社員に対して発行した同一のものを税務署にも提出します。また、提出すべき法定調書が100枚以上にのぼる場合には、書面ではなく電子申請をおこなうことが2021年1月から義務化されています。

年末調整の対象とならない社員

企業から給与を支給されている社員はほとんどが年末調整の対象となりますが、以下の条件に当てはまる場合は年末調整ができず、社員自身で確定申告をおこなわなければなりません。
・年収が2,000万円を超える社員
・2か所以上から給与を得ている社員

上記のうち、副業やパラレルワーク(2種類以上の仕事を同時に手がける働き方)で、2か所以上から給与所得を得ている社員がいる場合、年末調整の対象となるのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している企業のみとなります。

年末調整と確定申告の違い、および詳細については以下の記事でも紹介しているため参考にしてみてください。

年末調整のほかに確定申告が必要な社員

給与所得に関しては年末調整の対象となるものの、それとは別に社員自身で確定申告が必要な場合もあります。代表的な例としては以下のようなケースが挙げられます。
・年間を通して給与以外の所得が20万円を超える社員
・土地・建物を売却した社員
・年金を受け取っている社員
・贈与を受け取った社員

こちらの内容についても、詳細は以下の記事で紹介しているため参考にしてみてください。

12月以外のタイミングで年末調整の対象となる社員

以下のいずれかの条件に当てはまる場合、12月以外のタイミングであっても年末調整をおこなわなければなりません。

・海外へ転勤した社員
・死亡によって退職した社員
・著しい障害により退職した社員(退職後、再就職する見込みのある社員は除く)
・12月に支給されるべき給与などの支払を受けた後に退職した社員
・パートタイマーやアルバイトなどの退職者で、本年中に支払を受ける給与総額が103万円以下の場合(退職後、他の勤務先から給与支払を受ける見込みのある人は除く)

反対に、上記いずれかの条件に当てはまることなく、年の中途で退職した社員は年末調整の対象とはならず、自身で確定申告をおこなう必要があります。

まとめ

年末調整は源泉徴収での過納額を還付したり、不足額を徴収したりするためにも不可欠な手続きです。1社からの給与所得が年収2,000万円以下でそれ以外に所得がない場合、年末調整のみで確定申告の必要はありませんが、条件によっては年末調整のほかに確定申告が必要になるケースもあるため注意が必要です。

副業の解禁など働き方が多様化している現在、確定申告が必要な社員は今後増加する可能性があります。「年末調整をしているから問題ない」と誤った認識をもっている社員もいるため、社員に対して正しい情報を提供することが重要といえるでしょう。

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