HR Trend Lab

MENU

HR Trend Lab

男性の育休取得を推進!改正育児・介護休業法のポイントを紹介

2022年05月18日更新

働き方改革を実現するうえで重要視されている仕事と育児の両立。これを実現する手段のひとつに、育児休業の取得促進が挙げられます。育児休業の取得状況をみると女性が大半で、男性の取得率は極端に低い現状があり、これを解決すべく「育児・介護休業法」が2021年6月に改正されました。

今回は、育児・介護休業法とはどのような法律なのかを紹介するとともに、おもな改正ポイントもあわせて解説します。

目次 【表示】

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の通称です。子育てや家族の介護をしなければならない人が、仕事と家庭を両立しながら働き続けることを支援するために制定されました。

育児・介護休業法は何度か改正されており、直近の改正は2021年6月で、改正内容は2022年4月から段階的に施行されることが決定しています。

育児・介護休業法が制定された理由

育児・介護休業法の前身となる育児休業等に関する法律は、1991年に成立し、その後1995年に大幅改正されました。この改正によって介護休業制度が導入され、介護休業についても法律に盛り込まれるようになったのです。また1999年に改題され、育児・介護休業法という名称となりました。

少子高齢化が進む日本では、社会保障費が増大するリスクがたびたび指摘されてきました。今後、社会保険料を納めている20〜60歳の現役世代が減少し続けていくと、現役世代の負担がさらに増えるため、少子化に歯止めをかける必要があります。
そのような状況のなかで、子育てや介護を理由に離職する労働者が増えると、企業の生産性は低下し、雇用が不安定化する懸念が生じます。

そのため、少子化に歯止めをかけること、子育てや介護による離職を防ぎ労働力不足解消や安定的な雇用実現に繋げること、という2つの理由から育児・介護休業法が制定されました。

2021年に育児・介護休業法が改正された理由

2021年に育児・介護休業法が改正された理由のひとつとして、男性の育児休業取得を促進するという目的が挙げられます。

この背景には、仕事と育児の両立の難しさから退職を余儀なくされる女性が多いことがあります。
2015年に国立社会保障・人口問題研究所が行った「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」によると、就業していた女性のうち約5割が子育てを理由に退職したことがわかりました。

また、厚生労働省が2020年に実施した「雇用均等基本調査」の結果から、男女別の育児休業取得率を見てみると、女性は81.6%に対し男性は12.65%でした。男性の育児休業取得率は年々増加しているものの、現状では男女間で大きな開きがあります。

出産後も女性に職場で活躍してもらうためには、男性を対象とした子どもの出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みを創設して、育児休業取得を推進し取得率を向上させる必要がありました。そのために法律が改正され、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備、個別の周知、意向確認の措置が義務化されました。

育児・介護休業法の改正内容

2021年6月に改正され、2022年4月1日から順次施行されている育児・介護休業法の概要を紹介します。

育児休業を取得しやすい環境整備

育児休業が取得しやすい雇用環境を整備することを企業に義務づけました。
また、社員が妊娠および出産を申し出た場合(社員の配偶者の妊娠・出産も含む)、育児休業に関する個別の周知、および育児休業取得の意向を確認することも企業に義務づけています。

育児休暇を取得しやすい環境整備の施行期日は、2022年4月1日です。

育児・介護休業取得要件の緩和

有期雇用労働者が育児休業・介護休業を取得する際の要件として、従来存在していた「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」が廃止されました。

ただし、労使協定を締結した場合に限り、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することも可能としています。
なお、育児休業に関して、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」場合については引き続き取得要件に含まれます。

育児・介護休業取得要件の緩和についての施行期日は、2022年4月1日です。

男性の育休取得を推進する「産後パパ育休」の創設

男性を対象とする育児休業取得促進のための柔軟な育児休業の枠組みとして、子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得可能な育児休業「産後パパ育休」を創設しました。これは従来の育児休業制度とは別に取得できます。

なお、「産後パパ育休」については次の章で詳しく解説します。
「産後パパ育休」の施行期日は2022年10月1日です。

育児休業の分割取得

「産後パパ育休」以外の通常の育児休業について、休暇期間を2回まで分割取得できるようになったほか、子どもが1歳以降の育児休業延長についても開始日が柔軟化されました。

1回のまとまった休暇のみとしないため、仕事や家庭の状況に応じて柔軟に休暇を取得できるようになりました。これにより、夫婦が育児休業を途中で交代でき、仕事と両立しやすくなったこともメリットです。

育児休業の分割取得の施行期日は2022年10月1日です。

育児休業取得状況の公表義務化

常時雇用する労働者数が1,000人以上の事業者を対象に、育児休業取得状況について毎年1回公表することを義務化しました。自社のホームページはもちろん、厚生労働省が運営しているWebサイト「両立支援のひろば」でも公表することを推奨しています。

なお、育児休業取得状況の公表義務化の施行期日は2023年4月1日です。

男性の育休取得を推進する「産後パパ育休」の概要

改正育児・介護休業法で注目されている「産後パパ育休」は、男性の育児休業取得を推進するために創設されました。押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

取得可能期間

産後パパ育休は従来の育児休業とは別に、子どもの出生から8週間以内に4週間まで取得可能です。
これにより、男性がその家族に対して出産直後のサポートをしやすくなります。

取得の申し出期限

産後パパ育休では原則として休業の2週間前までの申し出により取得ができます。
これにより、育児休業の柔軟な申請が可能となります。

分割取得が可能

はじめにまとめて申し出ることにより、産後パパ育休を2回まで分割取得できます。
これにより、たとえば出産予定日に合わせた入院のために休暇を取得した後、育児期間中に残りの休暇を消化するなど、柔軟な育児休業の取得が可能となりました。

休業中の就業が可能

産後パパ育休は労使協定を締結したうえで個別合意により、育児休業中の就業も可能です。
社員が休業中の就業を希望する場合には、申し出に応じて事業者側から候補日や時間を提示し、就業します。

なお、就業可能日数は休業期間中の所定労働日数および所定労働時間の半分が上限として定められています。

男性社員の育休取得を支援する取り組みを進めよう

育児・介護休業法の改正にともない、現行の育児休業とは別に「産後パパ育休」が新設され、男性が柔軟に育児休業を取得しやすくなりました。

前述したとおり、2020年時点での男性の育児休業取得率は12.65%と、10%に満たなかった2019年以前に比べると上昇してはいるものの、女性の育児休業取得率と比較するとまだまだ低い状況にあります。

男性の育児休業取得を支援することで、女性にとっても働きやすい社会が実現されると期待されます。少子高齢化に歯止めをかけ、社員にとって働きやすい職場をつくるためにも、女性はもちろん、男性の育児休業取得を支援する具体的な取り組みを進めていきましょう。

人気記事ランキング
注目キーワード
研修・診断サービス
  • クレクタ
  • マイナビ エンゲージメント・リサーチ
  • 社会人基礎力診断
  • ムビケーション
→
←
Career Research Lab マイナビ研修サービス ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 外国人採用サポネット 日本エンゲージメント協会 HUMAN CAPITAL サポネット ナレビ マイナビキャリアサポート