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メンタルヘルス対策とは?企業に必要な4つのケアや取り組み方を紹介

2020年10月07日更新

メンタルヘルスとは、「心の健康」を指します。労働者のメンタルヘルスケアへの取り組みは経営のリスクマネジメントにもつながることから、メンタルヘルス対策の必要性は年々増加しています。
今回は、企業がメンタルヘルス対策に取り組む必要性や、取り組む際のポイントなどについて解説します。

目次

メンタルヘルスとは?

メンタルヘルスとは「心の健康」を指す言葉であり、精神的疲労やストレスなどへの対策や予防の場面で使われます。

厚生労働省が2006年3月に策定した【労働者の心の健康の保持増進のための指針】(※1)によると、「メンタルヘルス不調」は下記のように定義されています。
「精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう。」

このように、メンタルヘルス不調には精神疾患だけでなく、強いストレスや不安感などの精神状態も含まれます。そしてメンタルヘルスには、職場や生活環境が大きく影響します。なぜ今、企業でメンタルヘルス対策が必要なのでしょうか?

なぜ今、企業でメンタルヘルス対策が必要なのか?

ここでは、企業でメンタルヘルス対策が必要とされる3つの理由について解説します。最近では、新型コロナウイルス感染症の影響で仕事や生活のペースが変化したことで、大きなストレスを感じてしまうことも考えられます。過度なストレスは労働者のメンタルヘルスに大きく影響するため、企業のメンタルヘルス対策の必要性はますます高まっています。

メンタルヘルス不調による休職・離職

厚生労働省が2018年に実施した「労働安全衛生調査」(※2)によると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は6.7%、退職者がいた事業所の割合は5.8%と、メンタルヘルス不調による休職や退職は決して少なくありません。

また同調査では、「仕事や職業生活に関することで強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と答えた労働者の割合は58.0%にも上っており、全体の約6割の労働者が、なにかしらの強いストレスを感じながら仕事をしているといえます。

メンタルヘルス不調による休職や退職を防止するためにも、企業がメンタルヘルス対策に取り組むことは急務といえるでしょう。

働き方改革の一環として活用

2019年4月1日より施行された「働き方改革関連法」には、「時間外労働(残業)の規制」や「一定日数の有給休暇の取得義務化」など、労働者のメンタルヘルスにも関連する項目が盛り込まれました。
2020年4月からは、中小企業を含めたすべての企業で働き方改革への取り組みが義務化されています。働き方改革への取り組みの一環として、メンタルヘルスケア対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。

企業の健康経営につながる

「健康経営」とは、企業が労働者の健康管理を経営の一環として捉え、健康への投資をおこなう経営指針のことです。政府も推進している健康経営ですが、メンタルヘルス対策も、言い換えれば健康経営の一つです。労働者のメンタルヘルス対策をおこなうことで、生産性向上や組織の活性化につながることが期待されています。

メンタルヘルス対策の3つのステップ

次は、企業がメンタルヘルス対策に取り組む際の3つのステップについて解説します。

一次予防「メンタルヘルス不調を未然に防ぐ」

メンタルヘルス対策の一次予防では、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぎます。メンタルヘルスケアやストレスマネジメントの研修、ストレスチェック制度などを通じて、職場環境の改善と、労働者のメンタルヘルスに対する意識を向上させることが大切です。

また生活習慣改善のために適度な運動機会を提供することも、一次予防につながります。

二次予防「メンタルヘルス不調の早期発見」

二次予防では、医師の診断前の段階で、なにかしらの精神的不調を抱える労働者の早期発見・早期対応を目指します。具体的な対応方法としては、労働者からの相談を受ける窓口の設置や、産業医との面談機会の提供、ストレスチェックの実施、メンタルヘルス専門の外部サービスとの連携などが挙げられます。

職場の同僚や管理者などが、労働者の“いつもと違う様子”に気づき、早期段階で支援することも大切な取り組みの一つです。

三次予防「メンタルヘルス不調者の復職支援体制の整備」

三次予防では、メンタルヘルス不調によって休職した労働者の職場復帰をサポートします。産業医や衛生管理者、保健師などの産業保健領域の専門家との面談や、復職支援プログラムの提供など、復職までの一連の流れをフォローすることが求められます。

三次予防を疎かにしてしまうと、労働者の離職につながります。そのため、復職へのフローを企業内でしっかりと設定しておくことが重要です。

企業のメンタルヘルス対策に重要な「4つのケア」

企業におけるメンタルヘルス対策では、「4つのケア」を取り入れることが重要です。

セルフケア

労働者自身がストレスに気づき、メンタルヘルス不調に対処するための知識や方法を身につけて対処するのが「セルフケア」です。メンタルヘルス不調について正しく理解できるよう、企業は労働者に対してメンタルヘルスに関する教育研修や情報提供を行います。

ラインによるケア

職場の管理監督者(上司)にあたる者が部下それぞれのメンタルヘルス状況を把握し、職場環境の改善を図ることが「ラインによるケア」です。ラインとは、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において定義された、【日常的に労働者と接する、職場の管理監督者(上司その他労働者を指揮命令する者)】のことを指します。

企業は、業務のライン上に位置する管理監督者に対して、「ラインによるケア」に関する教育研修や情報提供を行います。

事業場内産業保健スタッフなどによるケア

こちらは、産業医、衛生管理者、保健師など、メンタルヘルスの専門的な知見を有するスタッフによるケアを指します。セルフケア、ラインによるケアが効果的に実施されるように、専門スタッフが労働者や管理監督者をサポートします。

具体的には「メンタルヘルスケアの実施に関する企画立案」、「事業所内外のサポート体制の構築」、「個人の健康情報の取り扱い」など、メンタルヘルスケア計画の全体的な取りまとめ、監修などを行います。

事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアでは、メンタルヘルスケアの専門的な知識を有する外部機関が、メンタルヘルス対策をサポートします。メンタルヘルスケアを外部機関に委託するため、労働者が「企業内での相談を望まない場合」などに効果が期待できます。

企業がメンタルヘルス対策へ取り組む方法

企業がメンタルヘルス対策に取り組む際には、以下の4つを実践してみてください。

ストレスチェック制度の実施

ストレスチェック制度とは、ストレスチェックテストの実施やテスト結果にもとづく面談指導、集団ごとの集計・分析など、メンタルヘルスケアにおけるストレスチェックの一連の流れを網羅した制度のことです。2015年12月には厚生労働省によって、従業員数が50名以上の事業所に対して、ストレスチェックの実施が義務付けられました(従業員数が50名未満の事業所に対しては「努力義務」)。

アンケート形式の「ストレスチェックテスト」を実施することで、労働者が、自身が直面しているストレスに気づき、メンタルヘルス不調のセルフケアをおこなうきっかけになります。

■ストレスチェックの実施方法や注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています
「ストレスチェック制度とは?実施方法や注意点のまとめ」/HR Trend Lab

相談窓口の設置

労働者がメンタルヘルス不調について気軽に相談できる窓口を設置することは、メンタルヘルス対策につながります。また、メンタルヘルスの一次〜三次予防をカバーする相談窓口は、労働者の休職から復職までをシームレスにサポートできるため、企業のリスクマネジメントにもなります。

職場環境の把握と改善

労働者のメンタルヘルス不調には、労働環境や人間関係など、さまざまな要因が関与しています。とくに最近では、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどの職場内ハラスメントが原因で、メンタルヘルス不調に陥る労働者も増えています。

職場の設備や労働時間、仕事量、人間関係などの職場環境を把握し、「労働時間の短縮」「仕事量の調整」などの改善をおこなうことで、メンタルヘルス対策につながります。

メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供

労働者、管理監督者それぞれの立場に合ったメンタルヘルスケアの教育や研修は、「セルフケア」「ラインによるケア」の促進につながります。

教育や研修は自社でおこなう以外にも、研修会社の提供するメンタルヘルス対策の研修を活用することもできます。適切な研修を利用して労働者のメンタルヘルスへの理解を深めることで、メンタルヘルス対策を強化できます。

まとめ

今回は、企業がメンタルヘルス対策に取り組むことの必要性や、取り組む際のポイントなどについて紹介しました。労働者のメンタルヘルス不調は、企業の経営にとっても重要な課題の一つです。

メンタルヘルス対策に取り組む際には、メンタルヘルス不調を未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調の早期発見へと繋げる「二次予防」、そして、メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰支援である「三次予防」を合わせた一連の流れである「3つのステップ」を実践することが欠かせません。

また、「セルフケア・ラインケア・事業場内産業保健スタッフなどによるケア・事業場外資源によるケア」からなる「4つのケア」をしっかりと押さえ、職場の労働環境を改善することが大切です。メンタルヘルス対策を、企業や労働者の生産性向上や、働き方改革・健康経営の一翼を担う取り組みとして活かしてみてはいかがでしょうか。

<出典>
※1. 厚生労働省ホームページ:労働者の心の健康の保持増進のための指針
※2. 厚生労働省ホームページ:平成30年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況

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