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管理職研修で目指すマネジメントスキルの向上

2021年03月11日更新

管理職と呼ばれる役職は、企業や組織の中でも求められる役割が多く、業務の管理や部下の育成など、日々さまざまな業務をこなさなければなりません。
求められる能力も多岐にわたるため管理職の育成による能力向上が必要であり、そのための手段の一つが「管理職研修」です。今回は、管理職に求められる役割や能力、なぜ管理職研修が必要なのか、研修の内容について解説します。

目次 【表示】

管理職とは

「管理職」とは多くの場合、組織内の各部署が主体的に仕事を進めるための「決裁権」を持つ役職のこと指します。企業や組織によってその役割や業務内容は異なるものの、日本企業では部長や課長などの役職(ミドルマネジメント)を管理職と呼ぶことが多い傾向にあります。

本記事では、ミドルマネジメントに焦点を当てて解説していきます。

管理職の役割

管理職に求められる役割として、「組織のトップにあたる経営層の補佐」「主任・係長などの現場役職者への指示」「部下の育成」「組織の上下層の間のパイプ役」などが挙げられます。

他にも、「各業務の目標管理・遂行」や、「個人情報・労働時間の管理」などのコンプライアンス関係の業務、「社外(顧客、取引会社)との信頼関係の構築や維持」など、管理職はさまざまな場面において重要な役割を担っています。

管理職に求められる能力

管理職に求められる能力の一例として、ハーバード大学のロバート・カッツ教授が提唱している「カッツ・モデル」があります。カッツ・モデルでは、管理職に求められる能力は「テクニカルスキル(業務遂行能力)」「ヒューマンスキル(対人関係能力)」「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つで構成されています。

・テクニカルスキル:業務を遂行するために必要な知識や技術、情報収集力などのこと
・ヒューマンスキル:仕事のベースとなるコミュニケーション力やリーダーシップなど、組織や他者に対して働きかける力のこと
・コンセプチュアルスキル:組織や部下の課題に対し、本質を捉え、解決に導く力のこと

管理職の置かれた立場によって必要な能力は変わりますが、組織内における役職が高くなるほどに、「コンセプチュアルスキル」がより求められます。そのため3つのスキルのうち、どれかひとつが優れていればいいわけではなく、状況に応じて能力を取得して発揮することが管理職には求められるといえるでしょう。

管理職研修が必要とされる理由

HR総研が2020年7月に実施した「人事の課題とキャリアに関する調査」(※1)によると、企業における「現在の採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオに関する課題」については、「次世代リーダー育成」がもっとも多く56%、「マネジメントスキル向上」が42%と、管理職に関係する項目が企業の課題として挙げられています。

日本企業の多くは、プレイヤーとして優秀な功績をおさめたり、成果を上げ続けている社員を管理職(マネージャー)へと昇格させることが一般的です。しかしプレイヤーとマネージャーとでは、求められる役割に違いがあり、必要な意識や行動、能力も異なります。

つまり、プレイヤーとして優秀な社員が、そのまま優秀な管理者になれるとは限らないということです。上記の調査で「次世代リーダーの育成」や「マネジメントスキル向上」といった課題が上位に挙がっているのも、このような理由が背景にあると考えられます。

加えて、働き方改革へ向けた企業の対応や、メンバー個々人の仕事に対する価値観の多様化など、マネジメントを取り巻く環境は複雑化し、管理職に期待される役割も増えています。そのため、プレイヤーからマネージャーへの意識転換をすることが管理職の育成にとって重要であり、管理職育成の方法の一つとして管理職研修が挙げられます。

企業における管理職研修の実施状況

HR総研が2020年8~9月に実施した「人材育成(中堅社員研修・管理職研修)に関するアンケート調査」(※2)によると、「管理職研修の実施有無」については、「実施している」53%、「実施していない」47%という結果となり、調査対象246企業のうち、およそ半数が管理職研修を実施していることがわかりました。

企業規模別で見ると、大企業(社員数1,001名以上)では「実施している」が74%、中堅企業(同301〜1,000名)では62%、中小企業(同300名以下)では36%となりました。企業規模が大きいほど管理職研修の実施率が高い傾向にありますが、管理職の育成は企業規模に関わらず必要です。

管理職研修とは

管理職研修は、管理職が知っておくべき基本的な役割や能力、心構えなどについて総合的に学ぶことのできる研修です。座学以外にも、特定の課題やテーマを取り上げ、グループワークなどを通じて管理職の役割を学ぶなど、さまざまな形式の研修があります。

また、管理職の属性によって求められる役割や能力が異なることから、新しく管理職に就くことになった人を対象とした「新任管理職研修」、経営層に近いポジションの管理職を対象にした「上級管理職研修」など、研修内容が区別されていることもあります。

たとえば、新しく就任した管理職を対象とした「新任管理職研修」を実施する場合、就任してから比較的早い段階で研修を実施することで、管理職として求められる知識や能力を就任早期に学び、実践へと繋げることができます。

管理職研修の内容

管理職研修にはどのような内容が組み込まれているのでしょうか? 一例をご紹介します。

管理職の役割を理解する

管理職に求められる役割や能力など、今までプレイヤーであった社員が管理職に就くにあたり、知っておくべき事項を学びます。組織内の社員や個々の業務に関係する情報収集の重要性、組織が直面している問題点の整理方法などへの理解を深めることで、管理職業務の基本を身につけます。

目標管理と目標設定を学ぶ

部下、あるいは自分自身の目標の立て方や目標の管理方法など、目標設定に関連することを学びます。部下へ正確に目標を伝える方法を身につけることで、部下自身が仕事への取り組み方法をしっかりと考えられ、部下の成長や生産性の向上が期待できるでしょう。

部下育成の基本を知る

部下の育成方法や、育成に必要なコーチングスキルなどを学びます。また、仕事における部下の成果を公正に評価する能力や、部下の行動や成果に対する的確なフィードバックをおこなう方法を身につけることで、部下のモチベーション維持や向上へと繋げることも可能です。

リーダーシップを学ぶ

管理職には、部下やチームを率いるためのリーダーシップが求められます。管理職におけるリーダーシップのあり方や、リーダーシップを発揮するために必要な能力などについて学ぶことで、より強固なチームを構築することへとつながります。

チームワークを強化する

チームワーク強化のためのチームビルディングの方法や大切さついて理解を深めます。仕事は個人ではなくチームで進めていくことを理解することで、一つの組織として成長するためにはどのようなアクションが必要なのかを考えて実践できるようになり、総合的なチーム力の向上へと繋がります。

まとめ

働き方改革の促進やリモートワークの推奨など、労働環境が急激に変化している現代では、人々の仕事に対する価値観も多様化し、企業も今までとは異なる労働環境の提供や業務の進め方を模索しなければなりません。

その中でも、管理職は企業の今後を担う重要なポジションであり、企業の生産性向上を目指すためには管理職の能力向上が求められます。次世代リーダーとなる管理職人材の育成へ向けて、管理職研修を導入してみてはいかがでしょうか。

<出典>
※1. HR総研:人事の課題とキャリアに関する調査
※2. HR総研:人材育成(中堅社員研修・管理職研修)に関するアンケート調査

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