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OJTはどのように進める?押さえておきたいポイントや注意点を解説

2022年02月09日更新

新入社員や、配属されたばかりの社員に対する研修にはさまざまな方法がありますが、なかでも多くの企業で採用されているのがOJTです。しかし、育成計画をしっかりとたてず、新人教育を現場に任せていたり、教育不足のまま新入社員や配属されたばかりの社員に実務を任せていたりするケースも少なくありません。

そこで今回の記事では、OJTはどのように進めればよいのか、OJTにおける注意点も含めて詳しく解説します。

目次 【表示】

OJTとは

OJTとは「On the Job Training」の略称で、トレーナー(上司や先輩)がトレーニー(部下や後輩)に対し、実務を通じて仕事に必要な知識や技能などを習得させる研修方法のひとつです。

OJTのほかにOff-JT(Off the Job Training)も存在し、これは実務の現場を離れて座学などによる研修をおこなう方法を指します。OJTでは上司や先輩がトレーナーとして研修をおこないますが、Off-JTでは社外の講師が研修をおこなう場合もあります。たとえば、新入社員研修などはOff-JTの代表的な例といえるでしょう。

実務に必要な技能を身につける際にはOJT、基礎的な知識や概念を多くの社員に共有する際にはOff-JTなど、場面に応じて研修方法を使い分けることが求められます。OJTは、早い段階から新入社員や、配属されたばかりの社員の即戦力化を目指すため、さまざまな企業で採用されている研修方法です。

OJTの目的

OJTを実施する目的にはどのようなものが挙げられるのでしょうか。代表的なポイントとして以下の3つを紹介します。

トレーニーのスキル向上

新入社員や、新たな部署に配属されたばかりの社員であるトレーニーがいち早く仕事に馴染み、一人で業務を遂行できるようにスキル向上を目指すのが第一の目的です。

早い段階で業務を遂行できるスキルや知識を身につけることにより、トレーニー本人には成長しているという実感が湧き、自信がつきます。そして、さらに多くのスキルを習得したいという向上心も高まるでしょう。その結果、仕事に対して意欲的に取り組めるようになり、早期の戦力化が見込めます。

トレーナーの指導能力向上

OJTはトレーニーのスキル向上ばかりではなく、教育をする立場のトレーナーにおいても指導能力の向上が期待できます。トレーナー自身が日々おこなっている業務をわかりやすく説明するためには、業務内容を細かく整理しながら順番立てて話す必要があります。実際に業務を遂行するのと説明するのとでは求められるスキルも異なり、トレーナーだからこそ向上が見込める能力もあります。

たとえば、トレーニーに理解してもらえるようにわかりやすい言葉を選んで説明することは、コミュニケーション能力の向上が期待できるでしょう。また、業務内容に合わせて順番立てて説明することは、論理的思考力の向上も期待できます。

組織の持続的な成長

組織としてOJTの進め方を確立し、継続的に実施することで、人材育成のプロセスを効率化できます。これにより、人材の効果的な育成につながり、組織が持続的に成長していく原動力となるでしょう。

OJTの進め方

OJTのポイントは、意図的・計画的・継続的に指導することであり、現場のトレーナーに新人教育のすべてを任せることではありません。そこでOJTの実施にあたっては、PDCAサイクルにもとづいて実施することで、より高い育成効果が期待できます。

OJT計画の立案(Plan)

はじめに、トレーニーをどのような人材に育成するのか、目指すべき姿を考えます。自社の経営理念や、部や課における行動指針などと照らし合わせることで、目指すべき具体的な姿が見えてくるはずです。

そして、その姿を目指すためにはどのようなスキル、技能を身につけなければならないかを考え、それに応じたOJT実施項目を検討しましょう。OJT計画の立案においては、どのスキルをいつまでに身につけるかを考え、OJTの実施計画書を作成します。

OJTの実施(Do)

次に、実施計画書に沿ってOJTを実施します。

トレーナーはトレーニーの業務の様子を観察しながら理解度を把握していきます。業務内容によっては、危険が伴う作業や、重大なミスにつながるおそれのある作業もあるでしょう。そのような場合、トレーニーの様子を観察しながら事故や重大なミスが起こる前に作業をストップさせ、リスクを説明したうえで正しい手順で業務をおこなうようフォローする必要があります。

また、業務のなかでトレーニーがわからないことや不安なことを気軽に質問できるように、トレーナーは緊密なコミュニケーションを心がけることも重要です。

評価・振り返り(Check)

OJTの進み具合に合わせて、進捗に遅れが生じていないかを定期的に確認します。また、OJTを進めるにあたっての問題点や課題があれば、その都度洗い出し、具体的な対策を講じて解決します。

OJTが最後まで完了したら、実施計画書で策定したスキルや技術、知識などがトレーニーに身についたか確認しましょう。たとえば、3か月間のOJT計画を立てていた場合には、3か月が経過したタイミングで1サイクルを振り返ります。

同時に、当初立てた目標や計画が適正なものであったかの振り返りもおこないます。トレーナーの指導方法が適切であったか、改善すべき点がないかも振り返りながら、次回以降のOJTに生かしていきましょう。

新たな目標設定(Action)

評価・振り返りのなかで、トレーニーが身につけられなかったスキルや技術、知識があった場合、あらためて目標を設定し直します。目標をクリアできた場合には、トレーニーが次のステップに進むために、新たな目標を設定しましょう。次の目標へむけて、再びOJT計画の立案からスタートし、PDCAサイクルを回していきます。

OJTの実施にあたって注意すべきポイント

OJTで人材を育成していくためには、トレーナー自身にもOJTトレーナーとしてのスキルが求められます。そこでトレーナーが心がけておくべき、3つのポイントを解説しましょう。

実施計画に沿ってOJTを進める

OJTでありがちなパターンとして、教育や指導をしないままトレーニーに業務を任せてしまうケースがあります。OJTはあくまでも新人を対象とした研修であり、仕事そのものを任せることではありません。

トレーニーが実務をおこなうのは仕事を覚えてもらうためであることを忘れず、トレーナーは実施計画に沿ってOJTを進める必要があります。

また、トレーナーが業務を観察できていないと、トレーニーの作業中に危険が伴ったり、重大なミスにつながったりするケースも考えられるため、十分注意が必要です。

トレーニーの立場にたって指導する

トレーナーにとっては簡単な作業でも、トレーニーにとっては慣れない作業で習得に時間を要することもあります。また、トレーニーによっても習得までに個人差があり、短期間でマスターできる場合もあれば長期におよぶこともあるでしょう。

トレーニーがスキルをなかなか習得できなかったり、ミスを繰り返したりする場合には、トレーナーとトレーニーが一緒になって乗り越えていく姿勢が重要です。

トレーニーがわからないことを気軽に質問できるようにするためにも、トレーナーは傾聴(トレーニーの言葉を真摯に聞くこと、また聞き出すこと)や印象管理(トレーニーが抱く自身の印象を管理し、話しかけられやすい雰囲気づくりをすること)といったスキルを身につけることが求められます。

習得度合いに応じて指導方法を変える

人材育成の手法には、トレーニーに対して指示したり正解を教えたりする「ティーチング」と、問いかけと傾聴によりトレーニーの中にある答えを導き出す「コーチング」があります。

OJTの初期段階の場合、トレーニーは右も左もわからないことが多いためティーチングが有効な指導方法といえるでしょう。その後、実務に慣れてきたらコーチングへ徐々に移行し、トレーニーをサポートするような指導方法に変えていくことが理想的です。

ただし、ある日を境に完全にコーチングへ移行するのではなく、ティーチングとコーチングを併用しながら段階的に移行することが重要です。

OJTを活用し、効果的な人材育成を実現しよう

新入社員や、配属されたばかりの社員にいち早く実務を覚えてもらうために、OJTは有効な人材育成方法のひとつです。しかし、新人教育を現場任せにしているケースや、OJTと言いつつも適切な指示や指導をおこなわないケースも少なくありません。

組織全体でOJTに取り組むことで、組織に人を育てる風土が根付き、企業が永続的に発展するための礎となるはずです。今回紹介したOJTの進め方やポイントを押さえつつ、効果的な人材育成につなげていきましょう。

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