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エンゲージメント・サーベイ活用のポイントと気を付けたいこと

2021年07月15日更新

価値観の多様化、市場の変化、組織と個人の関係性の変化など、さまざまな背景から近年注目を集めているエンゲージメント。定着率向上やパフォーマンス改善の観点から、エンゲージメント向上を目指す経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。エンゲージメントを高めるためには、エンゲージメント・サーベイを活用し、組織の状態を可視化することもひとつの有効な手段です。そこで今回は、エンゲージメント・サーベイを効果的に活用するポイントをご紹介します。

目次 【表示】

エンゲージメント向上の第一歩「エンゲージメント・サーベイ」

エンゲージメント・サーベイとは?

そもそもエンゲージメントとはどのような概念なのでしょうか。人事領域における従業員エンゲージメントは「従業員と組織の心的なつながり」を指します。エンゲージメントが高い状態とは、「従業員自らが組織に貢献する意図を持って業務に打ち込んでいる」状態とも言えるでしょう。

エンゲージメント・サーベイはこうした従業員のエンゲージメントを測定し、可視化する診断ツール。一般的には、従業員にアンケート調査を行い、回答をデータとして収集します。従業員一人ひとりの回答をもとに従業員の「本音」を知り、組織課題を洗い出すことができるため、改善に向けた施策に繋げるための手段として近年注目を集めています。

エンゲージメント・サーベイで組織の状態を可視化する

気を付けなければいけないのはエンゲージメント・サーベイを導入するだけで、従業員のエンゲージメントが即座に向上するわけではないことです。昨今はHRテクノロジーを活用した「エンゲージメント・サーベイ」を導入する企業が増えています。しかし、サーベイ導入が目的になってしまっている企業も少なくありません。サーベイ導入の目的は、あくまで人事・組織課題の解決。エンゲージメント・サーベイで可能なのは、組織全体がどのような状態か把握するためのデータを可視化することまでになります。

そもそも組織の状態が可視化されていないと課題が見えてきませんし、根拠のある改善策を講じることもできません。経営者や人事担当者、現場マネージャー、メンバーといった個人が周囲に対してどれだけ頑張って組織改善案を提案しても、組織の状態が可視化されていなければ、その提案は根拠のない憶測としてとらえられてしまいます。

エンゲージメント・サーベイによって組織の状態を可視化すれば、その情報を根拠に組織改善に向けた施策を打つことができます。可視化された情報が、組織全体で課題解決に向けた策を考える際に役立つのです。

「導入して終わり」になりがちなエンゲージメント・サーベイをより効果的に活用するためにも、可視化された情報を最大限に活用して施策を考えていきましょう。

エンゲージメント・サーベイを活用した組織改善のポイント


ここからはエンゲージメント・サーベイを効果的に活用し、組織改善に繋げるポイントをご紹介します。ひとつずつ見ていきましょう。

適切なデータを収集する

上述した通り、エンゲージメント・サーベイは従業員にアンケート調査を実施する診断ツール。収集したデータから組織課題を洗い出し、改善のための施策へ繋げるために活用します。
現状に即した適切な改善施策を講じるには、本質的な組織課題の抽出が必要。そのためには現状を正しく反映する回答データを集めることが大切です。データ収集にあたっては、「なんのために、どんな情報が欲しいのか」ゴールを設定し、それに沿って「欲しい情報を収集するにはどんな手段が適切か」を考えることが必要です。

従業員の回答を促す

より正確な情報を収集するためには、従業員が回答しやすい環境を整えることが大切。従業員に、エンゲージメント・サーベイの重要性と回答したデータの用途をきちんと説明することで、アンケートに回答する意義を理解してもらう必要があります。

「なんのために実施するのか」
「実施後、回答データはどのように使われるのか」
「回答は評価につながるか。誰が回答結果を見るのか」

こうしたエンゲージメント・サーベイの目的と運用方針を従業員に丁寧に説明することで、従業員も安心してアンケートに回答できます。

またエンゲージメント・サーベイで得た回答結果は、組織全体のデータとして取得されるため、「誰がこのような回答をしたか」判断することはありません。従業員に「回答次第で、評価に影響する」「個人データとして取得されてしまう」と思われた時点で、正確な情報取得が困難になります。

正確な情報を得るためには、
「回答データはあくまで組織改善に活用する」
「回答は評価につながらない」
「誰がその回答をしたかはわからない」
といったことを事前に従業員に説明し、安心して回答してもらえる環境を整えることがポイントです。

質問項目の設計

エンゲージメント・サーベイの特徴として、質問への回答をきっかけに、回答者が自身の行動や組織の状態を顧みることがあげられます。

たとえば、
「あなたは仕事を通じて成長できていますか?」
と問われた場合、回答者はこのように考えるでしょう。
「自分は成長できているだろうか?」
「あのプロジェクトでの経験は成長といっていいのだろうか?」、と。

エンゲージメント・サーベイで回答者に問いかける内容を「組織の目指す姿」に設定することで、回答する従業員は組織や自分の「理想と現実」のギャップに気づくことができます。こうした「気づき」を回答者に与えることを踏まえて、エンゲージメント・サーベイの質問項目を決定することが大切です。

実施後のフィードバックと対話

エンゲージメント・サーベイ実施後は、サーベイの結果(組織全体の現状)について回答者になんらかの形でフィードバックすること。そして、結果について組織全体で対話をすることが大切です。

なぜフィードバックが重要かというと、サーベイ結果を回答者に伝えないと「あの調査はなんだったんだろう…?」という疑問につながり、次回以降のサーベイ実施が難しくなる可能性があるからです。回答者に快くアンケートに協力してもらうためにも、サーベイ結果は回答者にフィードバックするよう心がけてください。

組織全体での対話もフィードバックと同様に重要です。サーベイで得られたデータが明確であればあるほど、多くの企業が数字を改善することに躍起になりがち。しかし、それは本質ではありません。サーベイを実施する真の目的はデータをもとに対話を生み出し、組織改善に繋げることです。

組織の現状を定量化することで、その数値をもとにメンバーもマネージャーも人事担当者も経営者も、全員が同じ目線で意見を交わすことができるようになる。それこそが、データの強みでありエンゲージメント・サーベイの意義になります。

浮き彫りになった結果がポジティブであれ、ネガティブであれ、「なぜこのような結果になったのか」「どうすれば改善できるか」について組織全体で対話してこそ、エンゲージメント・サーベイは効果を発揮します。せっかくサーベイを実施しても対話をしなければ、組織改善に繋げることは難しいでしょう。

サーベイによって得られたデータをもとに理想と現状のギャップを埋めるためになにが必要か、組織全体で考えることが課題解決につながるのです。

サーベイの調査結果だけでなくデータを複合的に活用する

経営者や人事担当者においては、エンゲージメント・サーベイによって得られた情報はもちろん、過去に収集した組織のデータも組み合わせて組織課題の解決に活かすことがポイント。従業員満足度調査、勤務データ、評価結果、1on1の記録、現場マネージャーに直接ヒアリングした情報など、さまざまなデータを多面的に収集し、課題解決に向けて思案するといいでしょう。あらゆるデータを組み合わせることで、サーベイ結果だけでは見えてこなかった実態に近づくことができ、より有効な改善策につながります。

ただし、データを組み合わせて活用する際にも、マネージャーや従業員個人に原因を追求することを目的にするのではなく、あくまで部署または組織全体のより詳細な分析を目的にするよう心がけてください。

導入後のアクションがエンゲージメントを高めるカギ


エンゲージメント・サーベイを効果的に活用するポイントをご紹介してきましたが、いかがでしょうか。エンゲージメント・サーベイは「導入するだけ」では、その効果を発揮しません。あくまで組織全体の状態を可視化するためのツールになります。

組織改善で重要なことは、収集したデータから組織の課題を正確に把握すること。そして、課題に対して経営陣だけでなく、従業員も一緒になって改善に向けた策を考え、実行することです。

もしかすると、エンゲージメント・サーベイを実施した結果、予想外に悪い結果が出るかもしれませんが、サーベイは個人を特定して責める道具ではありません。サーベイの結果をありのままに受け止め、どうすれば今よりもよくなるかを考えることで、エンゲージメントの向上とさらには組織課題の解決につながるでしょう。

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