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なぜいまエンゲージメントが注目されるのか?背景を解説

2020年08月11日更新

昨今注目を集めているエンゲージメント。「最近、いたるところで耳にするようになった」という経営者や人事担当者の方も多いことでしょう。しかし、なぜいまエンゲージメントが必要とされるのでしょうか。この概念が注目されるようになった背景を、欧米での事例や環境要因などから解説していきます。

目次

「会社と従業員の心的なつながり」を表すエンゲージメント

エンゲージメントとは、一言で表せば「会社と従業員の心的なつながり」です。エンゲージメントが高い状態だと会社の目指す方向と従業員個人の想いが一致しており、従業員は「会社に貢献しよう」という気持ちと情熱をもって仕事に取り組むことができます。

また、エンゲージメント の高い社員とそうでない社員とを比較すると、職場の人間関係や私生活における満足度が高いことも分かっています。

■エンゲージメントとはなにか解説記事はこちら
「エンゲージメントとは?意味や注目の背景、高めるポイントを解説」/HR Trend Lab

欧米企業でエンゲージメントがスタンダードになった背景

もともと、人事領域におけるエンゲージメントという概念はアメリカで生まれました。1990年代、アメリカの企業では生産性向上に対する意識が高まったことで、従業員エンゲージメントという考え方が注目されるようになったのです。

それまで多くの企業は従業員満足度に重点を置いていましたが、給与や福利厚生など従業員が求めるものを与えるだけでは、必ずしも生産性向上につながらないことに気付きます。そこで着目されたのが、エンゲージメントの考え方なのです。

アメリカの企業は個人主義が強く、従業員の解雇もしやすいことから、優秀な人材を残すための方法としてエンゲージメントが広く普及したと考えられます。実際に、アメリカのGoogleやAdobeといった企業では、エンゲージメントを大切にした働き方やオフィスづくりに取り組んでいます。欧米においては、企業の業績を左右するものとしてエンゲージメントの概念が定着しているのです。

日本でエンゲージメントが注目される背景

2000年以降、欧米企業で定着したエンゲージメントの概念は日本にも広がりはじめ、外資系企業などで取り入れられるようになりました。しかし、終身雇用の文化が色濃い当時の日本では、エンゲージメントの高低にかかわらず1社に勤めあげることが美徳とされていました。

しかしいま、「健康経営」「働き方改革」「組織力強化」「リテンションマネジメント(離職抑制)」といったさまざまな観点から日本でもエンゲージメントが注目されるようになってきました。とくにエンゲージメントが日本で注目されるようになった背景には、大きく以下3つの環境変化が考えられます。それぞれ見ていきましょう。

1. 個人の価値観の多様化

1980年代初頭から1990年代半ばに生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれる人たちがいま、社会に出て活躍しています。この世代はデジタルネイティブであり、インターネットで世界中とつながることが当たり前の環境で育ってきました。

ミレニアル世代の人々は画一的な日本の価値観にとらわれず、雇用スタイルや働くモチベーションについても多様な価値観を持ち合わせています。給料をたくさんもらうことや出世することよりも働く意味ややりがいを重視する人や、入社した会社のカルチャーや仕事内容が自分に合わないと感じたらすぐに辞めてしまう人も珍しくありません。

さまざまな価値観を持つ従業員にやりがいをもって働いてもらおうと考えたとき、従来型の画一的なマネジメント方法では限界があります。そこで大切になってくるのが、個々人の思いを大切にするエンゲージメントの考え方なのです。

2. 組織と個人の関係性の変化

少子化によって労働人口が減少している日本ではいま、採用は売り手市場です。人生100年時代と言われ、個人の労働年数が企業の寿命より長くなるこれからの時代、年功序列や終身雇用といった従来のシステムもこれまでのようには機能しなくなっていくでしょう。

また上述したように、ミレニアル世代をはじめとした今後の日本を担う個人の価値観も、働く意味ややりがいにシフトしています。そんな中、企業は、いかに優秀な人材を採用するか、そしてどのようにして人材を社内に留めておくかを考えなければなりません。

こうした組織と個人の関係性の変化により、最近は個人の意志を尊重したキャリア設計を重視する企業も増え、個人と組織との関係がフラットになりつつあります。

3. 主体的でクリエイティブな人材が求められる時代に

先進国のGDP成長率は、かつての高度経済成長期に比べて足踏み状態です。このような低成長時代においては、どの企業も価格競争で疲弊することになり、経営の見通しも明るいものにはなりません。昇給が見込めなかったりワークライフバランスが保てなかったりと、働く人たちにとってもモチベーションを維持しにくい時代と言えます。

このような先行き不透明な状況下で企業が成長していくためには、従業員一人ひとりが社内にイノベーションを起こしていく必要があります。これまでは、会社から与えられたタスクを実行するだけで認められていたかもしれません。しかし今後は、それだけでは企業の成長は期待できません。会社への貢献意識をもって主体的に動けるクリエイティブな人材が求められます。自らイノベーションを考える発想力や、それを実現するための行動力も、エンゲージメントが高ければ自然と高まるものです。

■日本企業におけるエンゲージメントの広がりについて言及する対談記事
「仕事への意欲、人生の楽しさにも 活きる「エンゲージメント」」/HR Trend Lab

いまこそ必要なエンゲージメント

欧米から日本に広まったエンゲージメント。それがいま、日本で注目され始めている背景をまとめると、以下3点が考えられます。

・ミレニアル世代が台頭し、個人の価値観が多様化している
・組織と個人の関係が、縦のつながりから横のつながりへ変化している
・必要な人材像が主体的に動けるクリエイティブな人材に変化している

これらの要因を解決するための鍵が、エンゲージメントにあると考えられます。実際にマイナビが2019年に1200名の会社員を対象に実施した調査では、エンゲージメントが高いと離職したいと考える気持ちの強さやその頻度は低くなり、仕事を含めた人生の幸福感は上昇するという結果が出ました。

エンゲージメントは「会社と従業員の心的なつながり」であり、エンゲージメントが高いということは、さまざまな価値観を持つ従業員それぞれが仕事へのやりがいを感じられているということ。そして、会社と対等な立場で自分の意志を尊重し、熱意をもって仕事に取り組めている状態です。そして、各個人が大切にしている価値観と会社の方向性が合致しているときに生まれます。

個人の価値観や個人と組織の関係性が変化している時代だからこそ、エンゲージメントは今後さらにその重要性を高めていくことでしょう。

変化の激しい今の時代、エンゲージメント向上は企業競争力の強化に直結します。ぜひエンゲージメントの必要性を理解し、よりよい企業づくりに活かしてください。

従業員か主体的に「働きたい」と思える組織にするための第一歩
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