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【PR】ビジネスパーソンの教養としての文章力講座(3/15 開催)

2023年02月21日更新

目次 【表示】

本当に難しい「文章を書く」ということ

私自身、これまで何冊かの書籍を執筆し、定期的に人事誌などに寄稿もしてきた。文章で身を立てているとは言えないが、私のキャリアに自分の文章が大きな影響を与えてきたことは間違いない。

自分で納得のできる文章が書けて、それが不特定多数の読者のもとに届き、さらには会ったことのない読者から感想を書いてもらえる。これはとても幸福なことだ。そして、書籍を1冊書き上げると、自分が大きく成長したと実感することにもなる。
 
そんな私に文章について相談してくる人も少なくない。「書いているうちに、何について書いているのか分からなくなった」「いったい誰に何を伝えたらいいのか分からなくなった」「自分の想いをうまく伝えられない」実に多くのビジネスパーソンがこんな悩みを持っているのだ。

プロの文章家でもない私にそんなことを聞かれても、「PREPで書いてみれば」とか「骨子をメモってから書いてみれば」などと基本的なアドバイスしかできない。本音を言うと、「自分だって上手く書けないで困っている」し「もっと上手くなりたい」のだ。

言葉を話せれば誰でも上手く文章が書ける、というわけではないのである。

そう、「文章を書く」ということは、とても深く、難しいのだ。

「テーマ」と「モチーフ」は違う

そこで、文章のプロに相談することにした。

私は最近、作家の山川健一さんと懇意にさせて頂いている。山川さんは文学賞を受賞した作品を含め、100冊近くの小説を発表してきた生涯現役の作家である。
小説だけでなく、楽天の三木谷社長の評伝や文章術についての新書、ブランドやプロダクトについての書籍など、ビジネスマン向けの書籍も多く出版している。

私にとっては学生時代から貪るように読んできた文章の著者であり、あこがれの存在でもあるので個人的には熱く語りたいことがたくさんあるのだが、ここではそんな気持ちを抑えて、端的に山川さんの言葉を紹介したい。

「モチーフとテーマは違うんだよ」

そう山川さんは言った。どういうことだろうか?

モチーフとは、芸術活動においては、表現の動機・きっかけとなった中心的な題材のことだ。執筆においては、文章の素材のことと言える。

料理で言うと、牛肉や春菊がモチーフだ。しかし、そういった素材があるだけではおいしい食事にはありつけない。すき焼きというテーマが必要となるのだ。

あの人は甘めのすき焼きが好きだとか、腹をすかしている息子には牛肉が多すぎるくらいのすき焼きがいいだろうとか、そこには作者の「想い」が反映される。
これが素材を越えたテーマだ。

山川さんは、文章にはエモーション(感情)が大切だと言う。さらに、文章を書くということは、「自分はどんな人間なのだろう」ということを問い続けることでもある、と続けた。それを問い続けることの延長線上に、自分は誰に何を伝えたいのか、という答えがあるのだ。

ビジネスの世界でも、読んでもすぐに忘れる文章といつまでも心に残る文章がある。
一応文章にはなっているし、ある程度の情報は収集できるのだけれど、文章そのものはビールの泡のように吹けば飛んでしまうほど軽いものもある。

一方で、スティーブ・ジョブスのようなカリスマ経営者の言葉には強い「想い」が込められており、いつまでも心に残るものだ。
山川さんも、ジョブズの言葉はもはや「文学」だと言っていた。

AIに負けない文章力

ホームページを作成する際、SEO(Search Engine Optimization「検索エンジン最適化」の略)に詳しい人に文章を書き直してもらった事がある。

例えば、エンゲージメントというキーワードでの検索順位を上げたければ、そのキーワードを何度も書かなくてはならない。

しかし、それがあまり多すぎるとグーグルのAIに魂胆がバレてしまい順位を下げられるので、適当な頻度で「エンゲージメント」という言葉を散らばせる。
これはこれで、SEOという一つの目的を持った文章なので、その専門性の否定はしないが、自分の文章が「最適化」された結果を見て、私は違和感を禁じえなかった。

なんだか、それはもはや私の文章ではなかった。作者の「顔」が見えなくなってしまっていたのだ。

いずれ、このような文章はすべてAIが書いてくれることになるだろう。AIにしてみれば、SEOなどお手の物だ。
しかし、そこにあるのは素材と戦略だけだ。テーマ(想い)とエモーション(感情)を込めるのはAIにはまだまだ難しいに違いない。

ライターズ・エンゲージメント

私は、人を巻き込む文章にはエンゲージメントが必要なのだと思う。

日本エンゲージメント協会の代表を務めるようになってから、「何にでもエンゲージメントとくっつければ新しいバズワードが作れると勘違いしているじゃないか?」と笑われることがあるが、実際何事も結果を出すにはエンゲージメントが必要なのだ。

だからもう一度言おう。文章にもエンゲージメントが必要だ。

従業員エンゲージメントを高めるには、次の要素が必要とされる。

(1)組織の活動、自分の仕事に意味を感じられるか
(2)組織が自分に期待していることが明確か
(3)自分らしく組織に貢献できるか
(4)自分の努力に対してしっかり承認されているか
(5)上司、同僚と良好な人間関係を築いているか
(6)仕事を通して、人として、ビジネスパーソンとして成長しているか

これをライターズ・エンゲージメントに置き換えるとこうなる。

(1)伝えようとしていることの意味・意義をしっかり理解しているか
(2)求められている情報が分かっているか
(3)自分ならではの想いを込めているか
(4)読者の反応を予想しているか
(5)読者を不愉快にしたり混乱させたりしない配慮をしているか
(6)この文章で、読者そして作者自身が成長するか

こういった項目をしっかりと抑えたうえで書かれた文章は、決してAIには負けないだろう。それは、SEOによる順位よりもパワフルなものに違いない。

私たちがこれから文章を書く時、気をつけたいのは、言葉が読者の心の中に残り、彼らのこれからの行動に何らかのポジティブな影響を与えることである。

相手は検索エンジンではなく、読者の感情なのである。

これは、山川さんから学んだことのほんの一部であるが、この度、山川さんを招いて、2回に渡って文章についてお話をしていただくことが決まった。

タイトルは「ビジネスパーソンの教養としての文章力講座」

これは、本当に多くの方々に求められている教養だと思う。何よりも、私自身が一番ワクワクしている。

文章の本質について、そしてビジネスマンに求められる文章力に興味のある方は、是非ご参加頂きたい。

著者プロフィール小屋 一雄(こや かずお)
一般社団法人 日本エンゲージメント協会 代表理事 ユーダイモニア マネジメント株式会社代表取締役 1989年より、20年にわたって日・米・欧のグローバル企業に勤務。ゼネラル・モーターズでは、デトロイト本社においてアジア地域の商品戦略に携わる。 ギャラップ社では日本における創業メンバーとして参画し、グローバル企業を中心にリーダーシップ開発や組織開発を行うコンサルティングに従事。 2009年に独立し、個人の「強み」を生かす人材育成、従業員のエンゲージメントを高める組織づくり、エグゼクティブ・コーチングに従事している。サンダーバード国際経営大学院にて経営学修士(MBA)取得。 京都大学EMBA講師(コーチング)。主な著書に『シニアの品格』(小学館)、『楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?』(プレジデント社・共著)、 「LET’S WORK ミック・ジャガーに学ぶ『これからの働き方』」など。
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